平成22年2月定例会の概要(2月23日(火) - 3月19日(金) 会期:25日間)

公開日 2022年07月26日

INDEX

  1. 日程・定例会日程
  2. 議決結果一覧・本会議審議の結果
  3. 意見書・可決された意見書等

日程

定例会日程

2月23日(火) - 3月19日(金) (会期:25日間)

第306回高知県議会(2月)定例会日程
会議 行事 中継
2 23 本会議 開会、議案上程、知事説明ほか  
  24 休会 議案精査  
  25  
  26  
  27 休日  
  28 休日  
3 1 議案精査  
  2 本会議 質疑並びに一般質問
◇質問者◇
武石利彦(自由民主党)
中内桂郎(県政会)
塚地佐智(日本共産党と緑心会)
 
  3 質疑並びに一般質問
◇質問者◇
坂本茂雄(県民クラブ)
池脇純一(公明党)
清藤真司(南風(みなみかぜ))
 
  4 質疑並びに一般質問
◇質問者◇
沖本年男(西風)
樋口秀洋(自由民主党)
梶原大介(県政会)
 
  5 質疑並びに一般質問
◇質問者◇
土森正典(自由民主党)
谷本敏明(日本共産党と緑心会)
結城健輔(自由民主党)
 
  6 休会 休日  
  7 休日  
  8 予算委員会
◇質問者◇
桑名龍吾(自由民主党)
上田周五(県政会)
中根佐知(日本共産党と緑心会)
大石宗(県民クラブ)
黒岩正好(公明党)
ふぁーまー土居(南風(みなみかぜ))
中西哲(自由民主党)
 
  9 予算委員会
◇質問者◇
横山浩一(県政会)
米田稔(日本共産党と緑心会)
井上自由(県民クラブ)
浜田英宏(自由民主党)
植田壮一郎(県政会)
山本広明(自由民主党)
西森潮三(自由民主党)
 
  10 常任委員会  
  11 常任委員会  
  12 常任委員会  
  13 休日  
  14 休日  
  15 常任委員会  
  16 常任委員会  
  17 常任委員会  
  18 議事整理日  
  19 本会議 委員長報告、採決、閉会  

議決結果一覧

1. 議案関係

事件の番号 件名 議決結果 議決年月日
第1号 平成22年度高知県一般会計予算
(議発第2号「議案第1号平成22年度高知県一般会計予算に対する修正案」を否決)
原案可決 H22.3.19
第2号 平成22年度高知県給与等集中管理特別会計予算
第3号 平成22年度高知県旅費集中管理特別会計予算
第4号 平成22年度高知県用品等調達特別会計予算
第5号 平成22年度高知県会計事務集中管理特別会計予算
第6号 平成22年度高知県県債管理特別会計予算
第7号 平成22年度高知県土地取得事業特別会計予算
第8号 平成22年度高知県災害救助基金特別会計予算
第9号 平成22年度高知県母子寡婦福祉資金特別会計予算
第10号 平成22年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計予算
第11号 平成22年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計予算
第12号 平成22年度高知県農業改良資金助成事業特別会計予算
第13号 平成22年度高知県県営林事業特別会計予算
第14号 平成22年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計予算
第15号 平成22年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計予算
第16号 平成22年度高知県流域下水道事業特別会計予算
第17号 平成22年度高知県港湾整備事業特別会計予算
第18号 平成22年度高知県高等学校等奨学金特別会計予算
第19号 平成22年度高知県電気事業会計予算
第20号 平成22年度高知県工業用水道事業会計予算
第21号 平成22年度高知県病院事業会計予算
第22号 平成21年度高知県一般会計補正予算
第23号 平成21年度高知県用品等調達特別会計補正予算
第24号 平成21年度高知県県債管理特別会計補正予算
第25号 平成21年度高知県母子寡婦福祉資金特別会計補正予算
第26号 平成21年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算
第27号 平成21年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算
第28号 平成21年度高知県農業改良資金助成事業特別会計補正予算
第29号 平成21年度高知県県営林事業特別会計補正予算
第30号 平成21年度高知県林業・木材産業改善資金助成事業特別会計補正予算
第31号 平成21年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計補正予算
第32号 平成21年度高知県流域下水道事業特別会計補正予算
第33号 平成21年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算
第34号 平成21年度高知県高等学校等奨学金特別会計補正予算
第35号 平成21年度高知県電気事業会計補正予算
第36号 平成21年度高知県病院事業会計補正予算
第37号 知事等、地方自治法第203条の2に規定する者及び職員の給料等の特例に関する条例議案
第38号 高知県地域活性化・公共投資臨時基金条例議案
第39号 高知県行政手続条例の一部を改正する条例議案
第40号 高知県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例等の一部を改正する条例議案
第41号 職員の育児休業等に関する条例等の一部を改正する条例議案
第42号 過疎地域等における県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例議案
第43号 高知県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案
第44号 高知県立幡多看護専門学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案
第45号 高知県医師養成奨学貸付金等貸与条例の一部を改正する条例議案
第46号 高知県国民健康保険広域化等支援基金条例の一部を改正する条例議案
第47号 高知県立障害者スポーツセンターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案
第48号 高知県立児童相談所設置条例の一部を改正する条例議案
第49号 高知県立県民文化ホールの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案
第50号 高知県立消費生活センターの設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案
第51号 高知県立学校授業料等徴収条例の一部を改正する条例議案
第52号 県立大学の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案
第53号 高知県緊急雇用創出臨時特例基金条例の一部を改正する条例議案
第54号 高知県立牧野植物園の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案
第55号 高知県警察の設置及び定員に関する条例の一部を改正する条例議案
第56号 高知県が当事者である訴えの提起に関する議案
第57号 全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更に関する議案
第58号 宇佐漁港プレジャーボート等保管施設の指定管理者の指定に関する議案
第59号 高知県立高知公園の指定管理者の指定に関する議案
第60号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案
第61号 県が行う土地改良事業に対する市町村の負担の変更に関する議案
第62号 県が行う土木その他の建設事業に対する市町村の負担の変更に関する議案
第63号 包括外部監査契約の締結に関する議案
第64号 高知県監査委員の選任についての同意議案 同意
第65号 高知県監査委員の選任についての同意議案
第66号 高知県人事委員会の委員の選任についての同意議案
第67号 高知県収用委員会の委員の任命についての同意議案
第68号 高知県収用委員会の予備委員の任命についての同意議案
議発
第1号
高知県議会議員の議員報酬及び議会の議員の中から選任された監査委員の報酬の特例に関する条例議案 原案可決
議発
第3号
政治資金規正法の制裁強化を求める意見書
議発
第4号
公立学校施設整備に関する意見書
議発
第5号
幼児教育の無償化と保育サービスの充実を求める意見書
議発
第6号
子供読書活動を推進するための予算確保を求める意見書
議発
第7号
医師確保のための施策の継続・充実を求める意見書
議発
第8号
介護保険制度の抜本的な基盤整備を求める意見書
議発
第9号
福祉人材確保に関する意見書
議発
第10号
児童虐待を防止するための親権制限を求める意見書
議発
第11号
「ひとり親家庭」に対する支援の向上対策を求める意見書
議発
第12号
若者の雇用創出と新卒者支援の充実を求める意見書
議発
第13号
飼料価格の高騰対策を求める意見書
議発
第14号
「木の社会」の実現に向けた森林・林業再生に関する意見書
議発
第15号
林業の担い手育成の抜本的な強化を求める意見書
議発
第16号
漁港・漁場・漁村の整備促進を求める意見書
議発
第17号
地方の公共交通の維持存続に向けた国の支援制度の充実を求める意見書
議発
第18号
国として直接地方の声を聞く仕組みを保障することを求める意見書
議発
第19号
永住外国人に対する地方参政権付与の法制化に慎重な対応を求める意見書
議発
第20号
教員免許更新制の存続を求める意見書
議発
第21号
生産性の高い競争力に富んだ農家の育成を求める意見書
議発
第22号
地球温暖化対策基本法の制定を求める意見書 否決
議発
第23号
予算編成のさらなる透明化を求める意見書 原案可決
議発
第24号
時代の要請にこたえる住宅政策の推進を求める意見書
議発
第25号
選択的夫婦別姓などの民法改正を求める意見書 否決
議発
第26号
選択的夫婦別姓法案提出について慎重な対応を求める意見書 原案可決
議発
第27号
地方財政制度の抜本的な改革を求める意見書 否決
議発
第28号
地域主権の確立に関する意見書
議発
第29号
介護療養病床の存続を求める意見書
2請願関係
事件の
番号
件名 議決結果 議決
年月日

第4号
特別支援教育の充実を求める請願について 不採択 H22.3.19

意見書

可決された意見書

政治資金規正法の制裁強化を求める意見書

政治資金をめぐる国会議員らの不祥事が発覚するたびに再発防止策が議論され、収支の公開方法や献金規制の強化などの政治資金規正法改正が繰り返されてきた。しかし、本年1月、政治資金規正法違反で現職国会議員を含む秘書らが逮捕される事件が再び起き、極めて遺憾なことである。
国民の政治不信を招く「政治とカネ」の問題を断ち切るために、再発防止に向けた法整備にしっかり取り組むことが強く求められている。特に、「秘書が勝手にやったことで自分は知らない」と、議員みずからが責任をとろうとせず、会計責任者が不正行為を働いた場合には監督責任のある政治家が責任をとる具体的な仕組みをつくる必要がある。
現行法では、国会議員など政治団体の代表者が「会計責任者の選任及び監督」について「相当の注意を怠ったときは、50万円以下の罰金に処する」と規定されているが、実際に会計責任者が収支報告書の虚偽記載などの不正を犯した場合、その人を会計責任者に選ぶ段階で「相当の注意を怠った」と立証するのは困難であり、実効性に欠けると言わざるを得ない。
したがって、会計責任者の「選任及び監督」を「選任又は監督」に変更し、政治団体の代表者が会計責任者の監督についてだけでも「相当の注意」を怠れば、罰金刑を科せられる仕組みに改めるべきである。
よって、国におかれては、より一層の制裁強化を図るため、秘書などの会計責任者が違法行為を犯した場合に、監督責任のある国会議員の公民権(選挙権や被選挙権)を停止する政治資金規正法改正案の今国会での成立を強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣様

公立学校施設整備に関する意見書

公立学校施設の整備については、安全・安心で良好な教育環境を確保するため、耐震化はもとより、地デジ対応、太陽光発電の導入、児童生徒の減少による学校統合への対応など、喫緊の課題が山積している。
特に、学校施設の耐震化については、一昨年の中国・四川大地震の甚大な被害を契機として、地震防災対策特別措置法が一部改正され、国の財政支援措置が大幅に拡充したことを受けて、地方自治体は耐震化への取り組みを加速しているところである。
しかしながら、国の平成22年度当初予算案では、国の助成対象となる耐震化棟数が、2,200棟と、昨年8月の概算要求時点における5,000棟の半分以下に減少しており、今後の計画的な公立学校施設の整備が危惧される事態となっている。
また、このような予算状況のもと、地震防災対策特別措置法による補助率のかさ上げ措置の期限である平成22年度までに、すべての学校施設の耐震化を完了させることは到底不可能である。
よって、国におかれては、次の事項を実現するよう強く要望する。

1耐震化など公立学校施設整備に必要な予算を確保すること。
2地震防災対策特別措置法の補助率かさ上げ措置の期限延長を行うこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
文部科学大臣
防災担当大臣様

幼児教育の無償化と保育サービスの充実を求める意見書

政府は平成22年度予算に子ども手当の支給を盛り込んだが、少子化対策のためには不十分と言わざるを得ない。子育て世代は幼児教育、保育サービスの充実を求めており、こうしたニーズにこたえる施策を的確に打ち出す必要がある。
特に、幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであり、将来の犯罪の減少や所得の増大につながるなどその教育効果は社会全体に及び、少子化対策の観点からもその負担を軽減することですべての子供たちに質の高い幼児教育の機会を保障することが求められている。
よって、国におかれては、次の事項を実現するよう強く要望する。

1子育て世帯の負担を軽減し、確かな人材育成を図るため、国策として計画的に幼児教育の無償化に取り組むこと。
2国の責任のもと、子供が健やかに育つよう、幼児期にふさわしい就学前の保育・教育の質の確保向上に努め、希望するすべての子供に適切な就学前の保育・教育を受けさせられるよう、必要な制度や財政措置をすること。
3必要とするすべての子育て世帯のニーズに対応できるよう、保育サービスの制度や財政措置の拡充を図るとともに、地域の実情にあった子育て支援を進めるため、地方自治体の創意工夫を生かせる制度の構築と財政措置を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
内閣官房長官
国家戦略担当大臣様

子供読書活動を推進するための予算確保を求める意見書

本年2010年は「国民読書年」である。「文字・活字文化振興法」の制定・施行5周年に当たる2010年、政官民協力のもと国を挙げて読書の機運を高めようと、2008年6月に衆参両院全会一致で「国民読書年に関する決議」が採択され、制定された。
にもかかわらず、2010年度政府予算案では、「子ども読書応援プロジェクト」事業(2009年度予算額1億5506万円)を廃止。そのかわりに、子供読書の普及啓発予算として4900万円を計上したものの、結果的に子供の読書活動の関連予算が大幅削減された。また、読み聞かせなどの読書活動を行うボランティア団体に助成金を支給している官民出資の「子どもゆめ基金」も、政府出資金100億円が全額国庫返納となり、事業の大幅な縮小を余儀なくされている。
このように、鳩山政権によって子供の読書活動に関連する予算が大幅に削減されたことは大変に残念であり、地道に読書活動を推進してきた学校やボランティア団体などからは驚きと不安の声が相次いでいる。
昨年11月に発表された文部科学省の社会教育調査結果によると、全国の図書館が2007年度に小学生に貸し出した本は登録者1人当たり35.9冊と過去最多となり、1974年度の調査開始時(16.5冊)に比べて2.2倍に伸びた。この結果は、「子ども読書活動推進法」の制定(2001年)を機に、学校での「朝の読書」や、家庭や地域、学校などでの「読み聞かせ」活動などが着実に根づいてきたこと、また国が積極的に読書活動推進の事業を行ってきたことのあらわれといっても過言ではない。
読書活動推進の取り組み効果があらわれているにもかかわらず、まさに「国民読書年」の本年に予算を削減するというのは、2008年の国会決議にもとるものである。
子供の読書は、言葉を学び、感性を磨き、論理的思考力や創造力などを高め、豊かな心をはぐくむとともに、さまざまな知識を得るなど、生きる力を養う上で欠かすことのできない活動である。
よって、国におかれては、「政官民協力のもと国を挙げてあらゆる努力を重ねる」という国会決議を真に履行し、子供の読書活動を守り育てていくため、子供の読書活動を推進するための十分な予算を確保するよう強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
文部科学大臣様

医師確保のための施策の継続・充実を求める意見書

地域医療の確立と医師不足の解消は、国民的な関心事となっている。特に救急医療を初め地域医療を支える中核になっている医療機関の勤務医を確保することは喫緊の課題である。
前政権が大学の医学部入学定員を拡大する措置を実施したが、新政権においても医師不足対策を重視しており、診療報酬の見直し等の対策を打ち出している。
勤務医を確保するためには、病院医療に参画する医師を確保し、全体的にふやす努力が欠かせず、開業医の病院医療への参画や女性医師が勤務し続けることができる条件整備などが不可欠である。また、限られた医師を効果的に再配置して地域医療を再構築するために、周産期母子医療センター整備などの施策展開も求められており、診療報酬の改定だけにとどまらない勤務医の労働環境の改善につながる独自の対策と事業が必要である。
よって、国におかれては、地域医療の実情にかんがみて、所要の予算を確保し、医師確保の施策を推進するよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
厚生労働大臣様

介護保険制度の抜本的な基盤整備を求める意見書

介護保険制度がスタートしてから10年を迎えたが、介護現場では深刻な問題が山積している。特に特別養護老人ホームの入所待機者は42万人にも上り、在宅介護においても家族の心身の負担など深刻である。介護保険を利用している要介護認定者とその家族、そして介護事業者及び介護現場で働いている人など、介護保険制度にかかわる方々から、必要なサービス及び介護施設の確保、経済的負担の軽減、介護報酬や処遇の改善などを要望する切実な声が数多く上がってきている。
しかも、15年後の2025年には65歳以上の高齢者人口がピークを迎えると言われている。今後さらに進展する超高齢化社会を見据え、「安心して老後を暮らせる社会」の実現を目指すには、介護施設の大幅な拡充や在宅介護の支援強化、利用者負担の抑制、公費負担割合の引き上げなど、必要な見直しが求められている。
そのために、2012年に行われる介護保険制度改正では、抜本的な制度設計の見直しが必要と考える。
よって、国におかれては、介護保険制度の抜本的な基盤整備をすべく、特に以下の点について早急な取り組みを行うよう強く要望する。

1早急に介護施設の待機者解消を目指す。そのために、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設の介護3施設を倍増させ、特定施設、グループホームを3倍増とするとともに質の確保に努めること。
2在宅介護への支援を強化するために、24時間365日訪問介護サービスへ大幅な拡充を行うほか、家族介護が休息をとれるよう「レスパイト(休息)事業」も大幅に拡大すること。
3煩雑な事務処理に対して、手続きの簡素化を図ること。
4介護従事者の大幅給与アップなどの待遇改善につながる介護報酬の引き上げを行うこと。
5介護保険料の上限が高くなりすぎないように抑制するため、公費負担割合を5割から、当面6割に引き上げ、早急に介護保険の3分の2を公費負担で賄うこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣様

福祉人材確保に関する意見書

介護・福祉の現場では、介護職員等の人材確保に困難を来しており、中には、人材不足のため施設定員より少ない入所者で運営せざるを得ない施設もある。これは、厳しい労働環境の中、相次ぐ介護報酬の減額等により、その将来性に危惧して就労を避ける傾向があるためである。
一方、利用者の重度化や認知症の利用者が増加して個別的なケアが求められ、食事、入浴、排せつのケアだけでなく、心のケアを含めて介護の力量の高さが求められている。
施設・事業所の経営者が、一層の労働環境の改善やキャリアアップの仕組みの導入などに努めることが必要であるが、人材確保の方策は、各事業者の限界を超えており、介護サービスの質の低下が懸念される。
よって、国におかれては、現場の実態を十分に把握し、国民に信頼され、持続可能な介護保険制度とするため、次の事項が講じられるよう強く要望する。

1介護老人福祉施設では、定められた人員配置基準以上の介護職員・看護職員を配置しており、入所者の重度化に対応したサービス水準の確保、職員の処遇・労働環境の確保等の観点から、人員配置基準を見直し、介護報酬に適切に反映すること。
2次期介護報酬の改定に当たっては、介護保険財政の健全化を図りつつ、人材が確保できるよう適切な水準の介護報酬を設定すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
厚生労働大臣様

児童虐待を防止するための親権制限を求める意見書

児童虐待防止法の制定により、児童相談所の体制強化や市町村における虐待防止ネットワークなど、地域における児童虐待防止に向けた取り組みが進められてきている。一方で、児童相談所の一時保護の増加や、児童養護施設からの父母による強引な連れ戻しなど課題も多く、子供たちを虐待から守るために今後の早急な対策が求められている。
とりわけ親権を盾にし、その陰で行なわれている児童虐待に対しては、新たな法整備が必要である。子供の安全確保や、施設責任者の判断の優先化などについて、より実効性のある対応をすべきである。
現行の民法には、親権を全面的に剥奪する「親権喪失」に関する規定があるが、親権のすべてが無期限に奪われた場合、その後、親子関係を回復することが難しくなるなどの問題点がある。このため、虐待の対応に当たる教育・福祉関係者などからは、より弾力的に親権を制限できる制度を求める声が上がっている。
法務省も、親による子の虐待を防止するため、民法上の親権を制限できる制度を導入する方針を固め、民法の関連規定の見直しについて検討して同法改正を目指していると報じられている。
よって、国におかれては、新たな法整備を行うに当たっては、父母の「親権の一時停止」や「監護権の停止」を認める制度とするなど、より弾力的に親権制限を行使できるものとするよう要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣様

「ひとり親家庭」に対する支援の向上対策を求める意見書

我が国では、「ひとり親家庭」への経済的支援策として、母子及び寡婦福祉法や児童扶養手当法などの法制度が整備されている。しかし、経済的支援の対象は、いずれも母子家庭に限られており、父子家庭を対象とする支援策は皆無に近い状況である。
父子家庭は、全国で約十七万世帯あると推計されている。その生活は、母子家庭と同様、必然的に育児や家事など子供を中心としたものにならざるを得ず、残業や出張、休日出勤などが制限され、結果として低収入を強いられている家庭が多くなっている。
子供を主体に考えたとき、ひとり親が父親であるか母親であるかを問わず、経済的支援を必要とする状況にある家庭をひとしく支援すべきであり、支援に性別を問うことは、速やかに改められなければならない。
よって、国におかれては、父子家庭についても児童扶養手当の支給対象となるよう児童扶養手当法を改正するなど、父子家庭と母子家庭がともに「ひとり親家庭」として平等に支援を受けられるよう、早急に対策を講じられるよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
厚生労働大臣様

若者の雇用創出と新卒者支援の充実を求める意見書

若者の雇用環境は先が見えない不安で覆われている。一昨年秋のリーマンショック以降、厳しい状況が続き、昨年12月の若年層(15~24歳)失業率は8.4%で、全体の完全失業率5.1%を大きく上回っている。
こうした中で新規学卒者の就職内定状況も非常に厳しくなっている。大卒予定者の就職内定率は昨年12月1日現在で73.1%(前年同期比でマイナス7.4ポイント)、高校新卒者は同11月末現在で68.1%(同マイナス9.9)と、いずれも過去最低となった。
さらに、ニートやひきこもりなど困難を抱える若者への支援が希薄であることも危惧されており、その十分な対策も急務である。このような状況を踏まえて、若者の雇用に対する公的支援のあり方を抜本的に見直す必要があると考える。
よって、国におかれては、若者の雇用創出と新卒者支援を図るため、次の事項を実施されるよう強く要請する。

1地域の実情に基づいた雇用機会の創出を強化するため、「ふるさと雇用再生特別交付金」「緊急雇用創出事業」の基金(7,000億円)をさらに積み上げること。
2「訓練・生活支援給付」の恒久化及び未就職新卒者に対する同給付の適用拡大を図るとともに、次の雇用へつなげるための「トライアル雇用(試行雇用)」の拡充や、「働く場」と「職業訓練」を一体的に提供する「職場実習つき職業訓練」の促進を図ること。
3新卒者の内定率の低下と就職活動にかかる費用負担が非常に重いことにかんがみ、「就活応援基金」を創設するなど、経済的負担の軽減を図ること。また、「ジョブカフェ」の持つ就職活動のノウハウを教育機関に提供するため、大学構内に「ジョブカフェ大学出張所」の設置を推進すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣様

飼料価格の高騰対策を求める意見書

県内の畜産業界では、安全で安心、高品質な畜産物を消費者に安定的に供給することを理念として、生産者と畜産関係団体、行政が一体となり取り組みを進めてきたところである。
しかしながら、米国におけるエネルギー政策の転換によるバイオエタノール需要の増加等により、飼料価格が高騰し、畜産農家の経営は非常に厳しい状況に陥っている。
一方、畜産物価格は、少子高齢化や消費者の食の多様化により、消費の伸びが見られず低迷しており、畜産物の生産コストの上昇分が小売価格に反映されていない状況にある。
これまで畜産業界においては、飼料価格の上昇に対し、家畜の生産性の向上や自給飼料の増産等、畜産物の低コスト生産対策を推進しているが、生産者の経営努力によるコストの吸収は限界に達しており、さらに、今後においても生産資材の上昇が懸念されるなど、畜産経営の存続が危ぶまれる事態となっている。
よって、国におかれては、飼料価格高騰の影響を緩和し、畜産経営の安定と国産畜産物の安定的な供給を図るため、次の事項を実現するよう強く要望する。

1飼料価格安定制度の一層の充実・強化と自給飼料生産拡大への支援対策を図ること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
農林水産大臣様

「木の社会」の実現に向けた森林・林業再生に関する意見書

戦後植林した人工林が成長し、利用可能な段階に入っているが、地域の林業は、路網整備や施業の集約化のおくれなどから生産性が低い状況にある。また、長期的な低落傾向にある材価は、昨年来の深刻な経済状況、住宅着工の急激な落ち込みを反映して、さらに低迷を続けている。こうした中、森林所有者の林業への関心は低下し、森林の適正な管理に支障が生じている。
こうした状況に対応するため、政府は、2009年末に「森林・林業再生プラン」を策定し、路網の整備、森林施業の集約化及び必要な人材育成を軸として、効率的かつ安定的な林業経営の基盤づくりを進めるとともに、木材の安定供給と利用に必要な体制を構築することとしている。
森林・林業の再生は、地域経済を活性化させ、雇用の創出にもつながるものであり、地域にとってその推進は極めて重要な意義を有している。
よって、国におかれては、「木の社会」の理念のもと、プランの早急かつ確実な推進により森林・林業を再生させるため、地域の実情も十分に踏まえた上、次の事項を実現するよう要望する。

1森林所有者に対して森林の適切な経営を義務づけるとともに、間伐等の森林整備を支援する政策を推進すること。
2森林の整備や木材生産の効率化に必要な路網の整備を行うため、低コストで耐久性のある路網作設技術の早期確立、普及を行うこと。
3森林・林業に係る人材を育成するため、「日本型フォレスター」制度の創設、森林施業プランナーの育成の加速化を行うこと。
4低炭素社会を実現するとともに、林業が産業として再生できるよう、公共建築物などへの木材利用の推進、石炭火力発電所での間伐材等の利用の推進などにより、木材需要を拡大すること。
5国民共通の財産である国有林野の公益的機能の維持増進を一層図っていくため、国有林野事業の組織・事業のすべてを一般会計に移行するとともに、その技術力を、森林・林業行政一般にも活用すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
農林水産大臣様

林業の担い手育成の抜本的な強化を求める意見書

森林は、木材資源の供給とともに、国土や環境の保全、水資源の涵養、生物多様性の保全など、国民生活にとって欠かせないものである。地球温暖化の要因とされるCO2を吸収・固定(伐採後も固定)しており、木材利用を拡大することは化石燃料の使用を削減することになる。
また、森林全体の年間成長量は消費量に匹敵する8,000万立方メートルとなるなど木材は国内で再生産が可能な資源であり、林業の停滞を打開し、林業・木材産業の再生の取り組みを強めることは大きな意味がある。森林面積日本一の本県の浮揚にとっては不可欠な課題である。
しかしながら、林業を取り巻く状況は、丸太やチップ・パルプは無税、製材、合板などでも6%前後という輸入自由化のもと、木材の自給率は2割にまで低下しており、木材価格の低迷、後継者不足など深刻な事態が続いている。
新政権は昨年末に作成した「森林・林業再生プラン」で2020年までに木材自給率50%を掲げているが、そのためには、林道・作業道など生産基盤整備が非常に重要である。日本では林道・作業道の整備状況が1ヘクタール当たり17メートルであるが、日本と同様に急峻地が多いオーストリアは87メートル整備され、日本の2倍の生産性を上げている。ドイツでは森林面積は日本の4割程度にもかかわらず、自動車産業を上回る130万人が木材関連産業に従事しており、整備された路網と高性能機械の導入で、収益性の高い大径木を中心に生産している。
産業としてすばらしい潜在力を持っている林業を再生するために、とりわけ深刻なのが担い手不足である。林業就業者は1997年の9万人から5万人に減少し、高齢化も進み、林業就業者の育成は緊急課題である。技術の継承に困難な地域も生まれてきている。
国の「緑の雇用担い手対策事業」(2010年度末まで)がある。本県においても567名が利用するなど一定の役割を果たしているが、研修期間が15カ月で、一人前の技術をつけるには余りにも短いことが課題となっている。また、技術を身につけるための研修だけでなく、作業員が正社員として長く働き続けられ、生活し家庭を持てる見通しが立つように制度を充実することが不可欠である。
よって、国におかれては、喫緊の課題である担い手育成についての抜本的な対応を実施されるよう強く求める。

1緑の雇用担い手対策事業を、2011年度以降も継続すること。その際には、研修期間の大幅な延長を行うこと。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
農林水産大臣様

漁港・漁場・漁村の整備促進を求める意見書

水産業をめぐっては、水産資源が低水準にあること、就業者が高齢化していること、水産物価格の低迷、燃油価格の大幅な変動など困難な課題に直面している。
水産物の安全性・品質に対し消費者の関心も高まっており、老朽化した漁港施設の改善や産地の販売力強化、流通の効率化・高度化など水産業振興のための課題は山積している。
しかしながら、平成22年度予算では水産業の基盤整備関連予算が大幅に減額された。そのような中で、漁港・漁場・漁村整備を進める農山漁村地域整備交付金が新たに創設されたが、さらに、国におかれては、水産業が直面する課題に的確に対処し、地域の創意工夫が生かされる真に必要な漁港・漁場・漁村の整備を着実に推進し、安心・安全な水産物を求める消費者のニーズにこたえる政策を打ち出すよう強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
農林水産大臣
内閣官房長官
国家戦略担当大臣様

地方の公共交通の維持存続に向けた国の支援制度の充実を求める意見書

地方の公共交通事業は、自家用自動車の普及や人口の減少に伴う利用客の落ち込みなどで長期的に厳しい経営を余儀なくされてきたが、一昨年のリーマンショックに端を発した景気の低迷によるビジネス客や観光客の落ち込みに加え、高速道路料金の見直し、新型インフルエンザによる影響なども加わり、一段と厳しい経営環境に陥っている。
もとより、公共交通は、地域住民の通学、通院、買い物を初めとして日々の生活を支える重要な移動手段である。観光やビジネスの視点でも、それぞれの役割を担っている。
そうしたことに加え、本県が全国に先駆けて進んでいる高齢化社会に向けて、公共交通の重要性は一層増すことが容易に想定され、また、今後目指すべき低炭素社会の実現に向けても公共交通は大きな役割が担える移動手段である。そうした観点からすれば、地方の公共交通を単に採算ベースのみで論じるべきでない。また、その維持存続を単に、交通事業者の経営努力にだけ求めることでは、解決できない状況となっている。
県や市町村といった地方自治体も、また、地域住民自身も地域社会の将来のために、今こそ、それぞれができ得る努力を最大限行うことが求められるが、そうした努力を行ってもなお、地方だけで将来にわたって地域の公共交通を維持確保していくことは、もはや困難であると言わざるを得ない。
よって、国におかれては、折しも高速道路の料金見直しの社会実験が行われようとしている今、それが公共交通に少なからぬ影響を与えることが広く全国各層から懸念されていることを踏まえ、社会実験に合わせ、時機を失することなく、適切に、公共交通事業に対する国の支援制度の格段の充実を図ることはもとより、今後の高齢化社会、低炭素社会を見据え、地域の公共交通を将来にわたって維持・充実していくための総合的な仕組みづくりを、喫緊の課題として取り組まれるよう、強く求めるものである。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
総務大臣
国土交通大臣様

国として直接地方の声を聞く仕組みを保障することを求める意見書

地方の声を国政に伝える上で、中央政府に対し要望することは極めて重要な手段である。
政府・与党では窓口を民主党本部幹事長室に一元化したシステムづくりが進められた。これに対しては、地方自治体から「国に地方の声が本当に届くのか」といった不安や危惧の声が多くあがっている。また、原口一博総務大臣も記者会見で「地方自治体の長は選挙で選ばれた地域住民の代表であり、中央政府とアクセスするのに何か制限があることはあってはならない」との趣旨の発言も行っている。
本来、政治と行政の役割は切り離して考えるべきであり、特に多様化、専門化している行政への要望等を、立法府を構成する政党が一元化して受けることで、事実上、行政への窓口を閉ざすことは、憲法で保障する国民の請願権を侵害することにもつながりかねない。
よって、国におかれては、行政府として直接地方の声に耳を傾け、しっかりと受けとめる適切な仕組みを保障するよう強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
総務大臣
内閣官房長官
国家戦略担当大臣様

永住外国人に対する地方参政権付与の法制化に慎重な対応を求める意見書

政府・与党では通常国会に永住外国人に対して地方選挙の選挙権を付与する法案を提出する動きがある。
我が国に在住する外国人に対する地方行政のあり方については、外国人住民の考え方や要望などを積極的に吸収する仕組みづくりに工夫が必要ではあるが、永住外国人への地方参政権付与については民主主義の根幹にかかわる重大な問題である。
日本国憲法第15条第1項においては「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と規定され、また第93条第2項においては「地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する」と規定されている。
また、平成7年2月28日の最高裁判所判決では「憲法が選挙権を保障しているのは日本国民で、その保障は外国人には及ばない」とし、「それは地方選挙も同様で、第93条第2項の住民とは日本国民を意味する」と指摘している。
よって、永住外国人に対して地方選挙の選挙権を付与することには憲法上問題があると考えざるを得ない。
したがって、拙速な結論を出すことには強く反対し、国におかれては、法案を提出・審議する場合には、国民の幅広い議論を喚起し、地方の意見を十分に聞くよう強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
総務大臣
内閣官房長官
国家戦略担当大臣様

教員免許更新制の存続を求める意見書

平成21年度より教員免許の更新制度がスタートした。教員免許更新制は一定期間ごとに教員が技術や知識を得る機会が保障され、時代の変化に的確に対応した教員の資質・能力を保持、技能を向上させる上で必要不可欠なものであり、教育改革の根幹をなすものとして導入された。
しかしながら、政府は昨年10月に教員免許更新制の抜本見直しを表明し、平成22年度予算にも教員免許更新制の効果検証などを含めた調査・検討事業に予算を計上した。
教員免許更新制度は本格実施から一年もたっておらず、成果や課題も十分にまとめられていない状況である。また、自己負担で講習を受けた教職員への補償についても検討がなされていない。制度改革の方向性も示されないまま「抜本見直し」だけが表明されている現状では、学校現場の混乱に拍車がかかることも懸念される。
よって、国におかれては、質の高い教員を確保し、国民の負託にこたえる教育水準を維持・発展させるためにも、教員免許の更新制を存続することを強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
文部科学大臣
内閣官房長官
国家戦略担当大臣様

生産性の高い競争力に富んだ農家の育成を求める意見書

政府は平成22年度予算で米戸別所得補償モデル事業と水田利活用自給力向上事業を導入するとしているが、農業農村整備事業費の大幅削減を初めとして農村現場で大きな混乱を招いている。
これまで政府が推進してきた担い手農家や集落営農の位置づけ、23年度の本格導入に向けての安定財源、貸しはがしにより農地集積が進まないこと、米の過剰対策や米価下落対策が講じられていないこと、全国一律単価では地域の産地形成が進まないこと、米以外の果樹・野菜、畜産・酪農が置き去りにされていることなど、多様な農業の展開を阻害し、地域の元気が失われることへの強い懸念がある。特に今回の農政転換に当たって、地方の農村現場の意見を事前に聞くことなく、拙速に制度設計が進められたことが大きな混乱の原因となっている。
よって、国におかれては、以下の点に十分留意し、生産性の高い競争力に富んだ農家の育成を進める施策の充実を行うよう強く求める。

1新たな食料・農業・農村基本計画の策定に当たっては、生産性の高い担い手農家や集落営農を推進すべき政策として明確に位置づけるとともに、農地集積の加速化、農家所得の向上に配慮すること。
2米戸別所得補償モデル事業では米余りと米価下落を招く懸念があることから、しっかりとした出口対策を講じるとともに、米の消費拡大に努めること。
3全国で多様な農業が展開されていることから、水田利活用自給力向上事業では全国一律単価ではなく、地域の話し合いで決める方式を基本とすること。
4大幅な削減となった農業農村整備事業費については、予算の復元により、現在進められている事業が計画通り継続できるようにするとともに、箇所づけの基準を明確にすること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
農林水産大臣
内閣官房長官
国家戦略担当大臣様

予算編成のさらなる透明化を求める意見書

現在、国においては、公共事業の予算配分方針(箇所づけ)の「仮配分」の中間報告が一部の政党に対して通達されたことに関して、さまざまな議論が起きている。
国は、この論議を深く受けとめ、国民に疑念を持たれぬよう情報管理に対する的確なルール整備を早急に行わなければならない。
しかし、この議論によって、現在までの箇所づけのあり方について、一石を投じたことも事実である。
そもそも参議院において成立しなければ箇所づけを出さないというこれまでのやり方は、納税者の視点からしても、国会での審議の深化・正当性においても一種の不透明さがあると言わざるを得ない。
本来、仮配分でない正式な箇所づけを国会に提出し、それぞれについて理屈に基づいた議論を行うべきであり、あわせて納税者や関連する自治体に対しての情報公開を徹底すべきである。
よって、国におかれては、今回の議論を深く受けとめ、箇所づけのプロセスを透明化する新たなルールを早急に整備し、予算編成のさらなる透明化を図るよう強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
国土交通大臣様

時代の要請にこたえる住宅政策の推進を求める意見書

住宅政策は最大の内需拡大策であり、中小企業対策や雇用対策にもつながる重要な経済対策である。また、政府の住宅政策は、現代のライフスタイルとライフステージに合った、より豊かな人生を送ることができる住宅政策に転換することが求められている。
住宅政策を推進するに当たっては、高齢化、人口減少、さらに温暖化という大きな変化に対応するとともに、経済・雇用情勢も見据えたセーフティーネットという視点を一層重視していく必要がある。
よって、国におかれては、住宅版のエコポイント制度の創設、住宅金融の拡充、木造住宅の振興、住宅取得等資金に係る贈与税非課税枠の拡大、既存木造住宅の耐震化促進、賃貸住宅の賃借人の居住の安定確保に資する施策等を着実に実施するなど、新しい時代の要請にこたえる住宅政策への取り組みを強く求める。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
副総理・財務大臣
国土交通大臣
農林水産大臣
金融担当大臣様

選択的夫婦別姓法案提出について慎重な対応を求める意見書

結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の姓を称することを認める選択的夫婦別姓制度を導入する民法改正案が、来年の通常国会に提出される動きがあるとの報道がなされている。
私たちの家庭・家族は古来より祖先と子孫は一つの血と命でつながり、そして夫婦は一心同体、子は宝という心情のきずなで結ばれ、家庭・家族の生活を営んできた。このことは日本の歴史と文化を貫く根幹であり生活すべての基準であると言える。また、夫婦は親子のきずなを最も大切にする道徳的存在であり、国家社会の基礎的単位である家庭は家族の一体感を高め、同時に社会的に夫婦親子であることを公に示す役割を持つものである。
しかしながら、夫婦別姓制の導入により、夫婦間に生まれた複数の子供の姓について、父親又は母親のいずれかの姓を選択できるようにした場合、親子兄弟が異なる姓を名乗ることになり、家族の一体感が損なわれるおそれがある。世界の大多数の国で維持されているファミリー・ネームというものがなくなり、他人が見て誰が家族なのかわからないという不都合が生じるとともに、戸籍や住民票の記載も紛らわしいものとなり、行政現場での混乱も来たしかねない。
また、子供が姓を選択する制度又はどちらかの姓に統一する制度になった場合でも、子供の姓が親の姓と異なる状況を生み出してしまう。親子をめぐるさまざまな痛ましい事件が報じられ、家庭崩壊の危機が叫ばれる中、選択的夫婦別姓制の導入は、家族の一体感やきずなを損ね、その崩壊を加速助長するものである。
夫婦別姓のため、私たちの家庭・家族が根底から覆され「家族の維持」より「個人の利便」が優先する利己一辺倒の社会となれば、祖先より子孫へというつながりを大切にする精神的伝統は断絶し、高齢者の介護や親族間の扶養義務の思いも薄まり、民族の伝統文化は急速に変質することが憂慮される。
よって、日本の伝統文化を守り、国の繁栄と平和な生活と共栄を願う立場から、国におかれては、「夫婦・親子同姓」制を堅持するため、選択的夫婦別姓法案につき慎重に対応することを強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

高知県議会議長元木益樹

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣様

INDEX

  1. 日程・定例会日程
  2. 議決結果一覧・本会議審議の結果
  3. 意見書・可決された意見書等