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参考資料3

事件の経過及び行政対応の概要
時期 事実関係 執行部対応等
5年4月1日 ○元県幹部、地域振興局地域政策課長に就任  
5年5月 ○元県幹部、商品先物取引に着手  
7年4月1日 ○元県幹部、商工労働部商工政策課長に就任  
8年6月 ○元県幹部、高知商銀から第1回目の融資(6000万円)を受ける。
※融資は9年4月まで計9回続けられ、金額は計5億2500万円に上った。
 
9年4月1日 ○元県幹部、海洋局次長に就任  
9年10月28日
~29日
○商工政策課金融班が高知商銀の現物検査
[確認事項]
(1)元県幹部の母親に対する手形貸付を確認
・8年6月~9年4月 9件 5億2500万円
・連帯保証人は元県幹部と親族
・員外貸付、貸付限度額超過貸付、無担保
(2)元県幹部から高知商銀専務あての確認書(8年6月17日付け)
・返済等についての一切の責任は自分が負う。
・使途は自分の職務遂行の都合により借り入れるもの。
・8年12月30日までに一括返済する。最長でも9年3月31日までには確実に返済する。
(3)海洋深層水関係の企業から元県幹部あてに提出された資料が高知商銀に提出されていた。 
○金融班が前田商工政策課長に報告
[報告内容]
・高知商銀の貸付の中に、前商工政策課長であった元県幹部に関係する資金使途不明の大口貸付があること。
※前田課長はこの貸付が法令違反であることはこの段階で認識した。

○前田商工政策課長が川村商工労働部長に報告
[報告内容]
・高知商銀の貸付の中に、元県幹部の母親名義の5億2500万円の貸付があり、元県幹部が確認書を入れ、連帯保証人となっている。
・無担保で、員外で、貸付限度額を超えた違法貸付である。
[川村部長の認識]
・違法性については当初から認識はあった。
・指導監督すべき立場にある課の課長(当時)が、弱小な金融機関である信用組合から、確認書だけで、しかも違法な貸付を受けているということに震えがくるようなショックを受けた。

○前田商工政策課長が元県幹部に事実確認(報告から2~3日後)
・事実を認めたが、「個人的な借り入れであり、公務には関係ない。確実に返済できるものであるので、絶対に迷惑はかけない」とのこと。
9年11月上旬   ○川村商工労働部長が元県幹部に面談(1回目)
[聴取内容]
・確実に返済できるものであるので絶対に迷惑はかけない。個人的な借り入れであり公務に関係はない。
・資金使途を明らかにすることについては、又貸しした相手方とも相談してみるので、11月いっぱいぐらい待ってほしい。

○山本副知事に川村商工労働部長と前田商工政策課長が報告
[報告内容]
・大変なことが起こりました。
・元県幹部の母親名義で、元県幹部が連帯保証人となり、高知商銀から無担保で5億2500万円の巨額借り入れをしている。
・償還期限を過ぎている。
・高知商銀の専務あてに元県幹部が確認書を入れている。(副知事にも見せた)
・使途についてはどうしても言わない。
・必ず返済はできると言っている。
・県の現職幹部職員がこのような多額の借入をしていること自体が問題ではないか。
・弱小金融機関から管理監督の立場にありながら、5億2500万円もの金を念書だけで借りている。(川村前部長答弁)
・高知商銀の財務体質はかなり悪化している。このままでは、場合によっては営業停止ということになるかもしれない。
※員外、貸付限度額超過という違法な貸付であるということは、川村部長は副知事に伝えたように記憶しているが、前田課長は言っていないと答弁。
[副知事の認識]
・員外とか貸付限度額超過とかという、法令に違反しているという認識はなかった。ごく最近まで(新聞報道されるまで)知らなかった。
・元県幹部は企業誘致などの関係で人脈が豊富な人間だったので、企業の力になってやろうという感じで融資したのではないかと思った。
[副知事から川村部長への指示]
・県の職員の絡んだこの債権の1日も早い回収に努めるか、担保をつけてもらうようにしてほしい。
・使途を明確にしてもらうようにすること。
・高知商銀に対してもその方向で指導していくようにすること。
・高知商銀に対する指導は厳正にやってほしい。
・さらに詳細に調査して報告してほしい。
※副知事から知事への報告は、もっと詳しい報告を受けて、自分なりの対応方針を決めたうえで報告しようと思い、この時には報告しなかった。

○川村商工労働部長から関係部局長等への報告
・人事課長へは、副知事への報告と同じ内容のことを口頭で伝えた。
人事課長には3~4回は話している。
[嵐人事課長答弁]
・「都築には困ったものだ、借金がある」という話を聞いた覚えがあるが、何回も聞いたという記憶もないし、詳しく聞いたという記憶もない。
・総務部副部長へは、人事課長ほど詳細ではなかったが同様の内容のことを伝えた。
[上岡総務部副部長答弁]
・元県幹部が商銀から借金をしており、退職願が出るかもしれないという趣旨の話を聞いたが、あまり詳しい説明ではなかった。
・金額とか違法性に関する話は聞いていない。
・人事課長にはそのことを伝えたが、不確定な状況だったので総務部長にはすぐには報告していない。
・総務部長へは、10年末ごろに話した。
・海洋局長へは、人事当局の判断で伝えてもらおうと考えて、この段階では話してない。
9年11月19日
~27日
○高知商銀の本検査実施
[確認事項]
・高知商銀の財務状況悪化、債務超過のおそれあり
・元県幹部への貸付金は全額第Ⅱ分類に査定
○第Ⅱ分類とした理由
・償還期限を経過して1カ月足らずであること。
・高知商銀の専務から、確実に返してもらえると確信を持っていると言われたこと。
※川村商工労働部長は、検査担当官の判断をやむを得ないものとして認めた。分類基準を最大限に読みとっての判断であったと思っている。
9年11月27日 ○検査後の非公式現地講評
・元県幹部への貸付金は貸付限度額超過、第Ⅱ分類
   
9年11月下旬   ○川村商工労働部長が元県幹部に面談(2回目)
[聴取内容]
・相手方の企業も苦しい経営状況にあり、使途を明確にするとかえって返済を困難にするので、使途は明確にできない。しかし、間違いなく返せる。県に迷惑はかけない。
・使途を明らかにすることの返事は、1週間待ってほしい。
9年12月上旬   ○川村商工労働部長が元県幹部に面談(3回目)
[聴取内容]
・返事は12月19日まで待ってほしい。
・使途を明確にすれば相手方に迷惑をかけるし、かえって返しにくい事態も起こしかねない。
・言わないままでは、県に迷惑をかけることになるので、このままでは辞めざるを得ない。
9年12月中旬   ○川村商工労働部長が嵐人事課長に、元県幹部から辞表が出てくるかもしれないということを伝えた。
9年12月19日 ○元県幹部が人事課長に退職願を提出
・退職理由「一身上の都合により」
・海洋局長には本人から退職願の提出について報告
○嵐人事課長が元県幹部に面談
[聴取内容]
・高知商銀から5億3000万円くらい借りている。
・複数の企業経営者に個人の事業として融通した。
・3月末までには絶対に返してくれる。
・商工政策課長をしていたこともあり、県に迷惑をかけるわけにいかないので退職したい。
[嵐人事課長の認識・対応]
・漠然と商工政策課が商銀を監督する立場にあるという認識はあったが、そういう立場にあるものがそこから借金をしていることがどうかというふうな認識はなかった。
・どこの金融機関からであれ、県の職員が巨額の借金をしていることが人事上の問題であるという認識で対応してきた。
・この時点では、商工労働部からも職を悪用してという話は聞いてなかったので、服務云々というところまでは思いが及ばなかった。
・海洋局長に確認したところ、退職願が出されたことは知っていたが、詳しいことは本人が言わなかったとのこと。

○嵐人事課長が山本副知事に報告
 [報告内容]
・元県幹部から辞表が出てきた。
・辞表は自分が持っている。
・本人から聴取した内容を報告。

○山本副知事が橋本知事に報告
[報告内容]
・元県幹部から辞表の提出があったことを報告
知事「何か心当たりがありますか」
副知事「かなりの借金があると聞いているので、それに関連してではないかと思います。詳しいことは私が直接会って、その結果をご報告します」

○川村商工労働部長が人事課長室に来て、元県幹部から退職願が出たことを確認。
・嵐人事課長が本人から聴取したことを川村部長に話した。

○嵐人事課長が上岡総務部副部長に退職願の提出があったことを報告したのは、退職願が撤回された後。
・上岡副部長は退職願が撤回されたことによって処理が終わったという思いを持った。

○嵐人事課長が総務部長に詳細に報告したのは10年2月ごろ
・それ以前に辞表が出て、撤回になったことは報告している。
9年12月22日   ○山本副知事が元県幹部に面談
[聴取内容]
・信頼している友人の経営する企業の運転資金として貸した。
・相手の資金繰りの都合で返済が遅れているが、5~6月ごろまでには必ず返せる。ご心配をかけることはない。
・個人的な融資であり、私個人が責任を持つべきものである。
・企業の名前を明らかにすることは、私の信義上のこともあるので勘弁してほしい。
・私を信じてほしい。
・辞表を提出した理由は、現職幹部が多額の借金を背負っていること自体が問題で、迷惑をかけることになるから。
・絶対返せるのなら、返したうえでけじめをつけたらいいのではないかという話し合いの結果、それでは頑張って後やりますということで辞意を撤回した。
[判断・指示内容]
・確認書に職名を記入していることに少し問題意識はあった。
・高知商銀の財務体質もかなり悪いので、この段階ではまず返さすことがベストだと判断した。
・あなたの責任できちんとけじめをつけなさい。
元県幹部がどういう気持ちで辞表を出してきたのかということについては、いまだに真意はつかみきれていない。
※川村商工労働部長と元県幹部は相当激しいやりとりをしており、その上で辞表を出してきたのではないかと思う。

○山本副知事が嵐人事課長に指示
[指示内容]
・元県幹部との面談内容と辞意を撤回したことを伝え、辞表を取りに来るので返してくれという指示をした。
[嵐人事課長の認識]
・この時点で解決のめどが立ったものとして受け止めた。

○山本副知事が川村商工労働部長に指示
[指示内容]
・人事課長に伝えたことと同じような内容を伝え、5~6月ごろまでには返すと言っているのでフォローしてほしい。
・商銀の問題については厳正・的確に対応してほしい。
[川村部長の認識]
・地位利用ということで厳しく思っていたので、そういう判断もあるのかなあと思ったが、すぐには腑に落ちなかった。
・退職願が撤回になったということを聞いた後、言葉少なに副知事室を出た。
・撤回になったことは日を置かずに商工政策課長等に伝えた。
※山本副知事から海洋局長には格段指示も連絡もしていない。
※その後、商工労働部には、顔を合わす機会があれば、いろいろ状況について聞いたような記憶がある。何か変わったことがあれば報告があると思っていた。(副知事)
9年12月24日   ○嵐人事課長が元県幹部に退職願を戻す
・この時は特に話はしていない。
・人事当局には法令違反の貸付であることの説明も認識もなかった

○退職願撤回後、商工労働部としては、高知商銀に対しては早く回収するように指導し、元県幹部に対しては早く返してくれるよう要請してきた。
総務部との打ち合わせ等は行っていない。
9年12月25日   ○山本副知事が橋本知事に報告
[報告内容]
・巨額の金を借りている。
・個人的な借り入れで、企業等への融資のために一肌脱いだという話。
・本人は返せると言っているし、決してご迷惑をかけることはないとのことであるので、5~6月ごろまでに返させるということにした。
・「あとは私にお任せください。」
[知事の認識]
・何月までということは聞いた記憶はない。
・副知事の安心感が伝わってきた。
・特段の危機意識は感じなかった。
10年1月21日 ○正式な現地講評(理事会の中で)
[講評内容]
・債務超過となる見込み
・法令違反の貸付限度額超過の拡大
など
 
10年1月下旬   前田商工政策課長が元県幹部に面談
・3月末までにはなんとかなると考えている。
10年2月5日 ○検査示達書交付
・財務体質の強化
・貸付限度額超過の解消
・貸付審査体制の充実強化
など
 
10年3月中旬   前田商工政策課長が元県幹部に面談
・3月末は困難となってきたが、9月までには支払いできる。
10年4月1日 ○副知事交替(山本→河野)
○海洋局長交替(新谷→森光)
○副知事の引継
[山本前副知事]
・口頭で人事上の問題として伝えた。
・幹部の1人である都築次長は1回こういう問題で辞表を出し、撤回したことがあるので、これからの骨格人事をやるうえではちょっと注意したほうがいいですよということは伝えた。
[河野現副知事]
・文書でも口頭でも引継は受けていない。
※副知事の引継は2度行われた
[3月28日]新旧出納長が同席していたが、2人ともこの時にはこの問題についての話はなかったと答弁。
[3月31日]2人だけで引継書を受け渡ししたが、現副知事はこの時にも話はなかったと答弁。

○海洋局長の引継では、この問題についての引継は一切なかった。事件が発覚した後で前局長から話を聞いた。こういったことを知らされていなかったことについて何か割り切れない気持ちがあった。(森光現局長)
10年7月上旬 ○商工政策課が四国財務局に第1四半期の報告
・分類先の現況報告(元県幹部関連の貸付残高に改善なし)
 
10年8月6日 ○商工政策課が高知商銀と協議
・改善計画の進捗内容
・元県幹部関連の貸付に関する個別協議なし
 
10年9月18日 ○元県幹部が内水面漁業協同組合連合会を訪問し、高知県内水面種苗センターから内漁連へ運転資金として貸し付けている資金の一部を一時的に返済してほしい旨の申し入れをする。

○商工政策課が四国財務局と定例協議
・大口貸付の解消(元県幹部関連の貸付に関する個別協議なし)
 
10年9月21日 ○内漁連から元県幹部の口座に1500万円が振り込まれる。  
10年9月下旬   ○川村商工労働部長が河野副知事に報告
[報告内容]
・元県幹部が連帯保証人になって母親名義で5億2500万円借りている、大変なことだ。(本人からの確認書をもとにして)
・員外、限度超過、無担保であることは報告を受けたが、それが法に違反するものだという説明はなかった。(副知事)
・退職願が出されて撤回された。
・金融監督庁から11年度の検査を早くすべきでないかと言われている。
[副知事の認識・指示]
・9年に一定の判断をして、返すことが先決だということで対処してきているので、それならその考えで行くほかないと判断して、それで行きましょうと言った。
・返すことが問題を根本的になくしていく1つのもとになるので、それはそれでやるべきだ。
※川村部長は、河野副知事には4月の引継の時にはこの問題について報告していないが、9月まで報告していないということは絶対にないと答弁。
※河野副知事は9月下旬ごろに本格的に報告を受けたと答弁。

○前田商工政策課長が元県幹部に面談
・金融監督庁ができて、非常に厳しい状況になってきたので、早急に返済してほしいということを要請。
10年10月上旬 ○商工政策課が四国財務局に第2四半期の報告
・元県幹部関連の貸付残高に改善なし
 
10年10月   ○橋本知事から河野副知事に対して、都築問題についてはよろしく頼みますという話があった。
[知事]
・返済されたという報告がなかったので、相変わらず借金が続いているのだろうという認識があった。
・人事では元県幹部の問題をきちんとしてくださいという気持ち。
・返させることが既定の方針だったということは認識していなかった。
[副知事]
・今までどおり返させるということでいきますと言うと、知事はわかりましたという返事だった。
10年10月24日 ○元県幹部が須崎市内の造船会社社長に対して、「海洋局の事業の関連で水産関連会社の運転資金として1500万円貸してほしい、11年3月までには返済できる」とうそを言って融資を依頼。
・別の県幹部の印鑑を無断使用して連帯保証人に仕立てて借用書を偽造。
・無担保
 
10年10月29日 ○造船会社社長から元県幹部の口座に1500万円が振り込まれる。  
10年11月19日 ○商工政策課が四国財務局と定例協議
・個別案件(数件)について協議
12月の定例協議までに最新の情報を商銀から集めて、個別にチェックをすることになった。
元県幹部への貸付については、事前に上司と相談する必要があった。
・高知商銀の9年度の決算状況から債務超過となることが見込まれたので、事業譲渡について協議を始めた。
○商工政策課が事業譲渡について商銀と協議をはじめる。
・事業譲渡と本件とは全く関係がない。
10年12月上旬   ○商工労働部が部内協議のうえ、元県幹部への貸付の件について事実を四国財務局に報告することを決定。
10年12月18日   ○河野副知事が元県幹部と面談
[聴取内容]
・知人の企業経営者複数に貸している。
・確実に返済してもらえる。
・公務とは関係ない。
・経済状況の回復が遅れていることから滞っているが、引き続き努力する。
・貸した相手のことを聞いても、相手方との信義もあるのでということで口を閉ざして言わない。
10年12月下旬 ○内漁連の専務から海洋局長に電話があり、「都築次長に資金のことで連絡しておいてほしい」とのこと。
海洋局長がそのことを元県幹部に伝えると、「すぐ処理します」とのこと。
その後、元県幹部から処理しましたという報告があった。
 
10年12月25日 ○商工政策課が四国財務局と定例協議
・元県幹部関連の貸付について、事実と取り組み経過等を説明。
・財務局から、正確に実態を把握して早急に解決を図るよう指示を受ける。

○元県幹部から内漁連の口座に1500万円が振り込まれる。
 
10年12月~
11年2月頃
○四国財務局から商工政策課へ指示
・「早急に調査し、実態を掴め」
 
11年1月中旬 ○商工政策課から四国財務局に第3四半期の報告
・平成10年度決算ヒアリング(元県幹部に対する貸付残高に改善なし)
 
11年1月下旬   ○商工労働部がこの問題について記録を開始
○商工労働部が副知事にこれまでの状況を報告
11年1月26日 ○商工政策課が四国財務局と定例協議
・元県幹部の件で前田商工政策課長が財務局金融監督課長と個別協議
 
11年1月28日 ○元県幹部から嵐人事課長に退職願の提出(2回目)
・「貸した知人に逃げられ、回収できない」
○森光海洋局長は元県幹部から退職願提出後に話を聞いた。
・商銀から億単位の私的な借り入れ、返済不能。
・副知事、人事課長は知っている。
・海洋局長は海洋深層水関係の話は聞いていない。

○森光海洋局長が河野副知事と嵐人事課長に詳細な話を聞きに行く
・知らされていないことに割り切れない気持ち、前局長からも話なし。
[内容]
・母親名義の借り入れ、その連帯保証人。5億余の借金。
・以前にも辞表提出、返済するということで撤回。
・副知事が再度、明日会う。

*海洋局は「蚊帳の外」で、横の連絡が全くなかったことを確認。
11年1月29日   ○河野副知事が元県幹部に面談
・12月と全然話が違っており、もうだめだと判断。退職願を保留し、最後の努力として担保の検討を指示。
・人事課と商工労働部に結果報告。回収不能になる以上、完全に懲戒事由に該当するので、その整理を指示。商銀に対しては、引き続き債権回収の指導を行うよう指示。

*「まずは返させる」という基本方針が崩壊

○川村商工労働部長
・事後に、もう逃げられて払えなくなったと聞き、大変な事態と認識。

○嵐人事課長から森光海洋局長に退職願を戻す(海洋局長預かり)
・海洋局長に本人から「担保物件を当たる努力をしてみる」との申し出
・元県幹部の仕事ぶりは、全く素振りを見せず、仕事上は最高の処理をしていた。海洋局の全職員がそう感じていたと思う。(森光海洋局長)

○河野副知事から森光海洋局長に電話連絡(海洋局長預かりの理由)
・担保確保に努力する。
・退職願を認める時期ではない。
(人事当局からの正式報告は、この時である)
11年2月3日 ○四国財務局から商工政策課に対し元県幹部に関する書類の提出要請
・ラインシート、貸出稟議書を提出
 
11年2月5日   ○商工政策課が、高知商銀専務に事業譲渡に真剣に取り組むよう指導
11年2月8日 ※その後、商工政策課が高知商銀に対して、再三にわたり事業譲渡への早急な取り組みを指導

○高知商銀専務が来庁(商工政策課)
・新たに、下記の書類が実在することが判明(担当者に持参)
(1)海洋局次長都築弘一名で高知商銀あて
「今後の償還計画について(10.10.5付け)」
友人や知人の企業の協力を得て、出来る限り早期に償還する。
・H10.12までの見込み(企業協力)1億3千万円
・H11.3までの見込み(企業協力)2億円
・H11.8までの見込み(最終精算)残高と金利精算
(2)都築弘一(海洋局次長)名で「海洋深層水に係る新規取水施設関連用地の整備等について(H11.12.24付け)」
 ※ただし、これはH10.12.24の間違いと思われる。
・新たな取水施設と関連用地は高岡地区
・高岡地区は主として県負担により整備する
(用地21,580㎡、地権者13人、県負担見込み12億6900万円)
・県予算は10年度当初、2月補正で12億6900万円を計上し、11年3月までに室戸市土地開発公社に助成
・以上により、借入金は11年3月末までに全て償還見込み
○商工政策課が高知商銀専務に指導
・(2)関連の土地の登記簿をとること

○商工政策課長
・海洋深層水の文書は、正案でなく個人の問題との説明を信じ、海洋局には話さず。
11年2月9日   ○商工労働部が部内協議(担当から課長が報告を受ける)
・元県幹部が左上(1)(2)の書類を提出していることを確認

○川村商工労働部長と前田商工政策課長が前日の確認事項を直ちに河野副知事に報告
11年2月10日 ○高知商銀専務が来庁(商工政策課)
 ・登記簿を持参。所有者はA市土地開発公社
 ・元県幹部と同公社との契約、覚書等の有無の確認を指導
 
11年2月12日 ○商工政策課が高知商銀専務に事実確認
・H10.3.31に金利分として1160万円の追加融資確認
残債5億3660万円
H10.4.1以降は金利延滞
○担当が前田商工政策課長に、本日確認事項を報告
11年2月17日 ○高知商銀専務が来庁(商工政策課)、事実確認
・元県幹部から次のことを確認した旨報告
・5億円全額を世話になった人に貸したが、その人が逃げて企業は倒産した。
・償還の目途は立たない。
・A市土地開発公社との契約等はなく、H11.2.8の②の話は虚言
・既支払い利子は、返済分と元県幹部個人のお金。
・理事長には事実を伝えること。
※一番大事なことであり再確認をしたものである。理事長に今まで言ってあったとか言ってないとかを考えて言ったものではない。
・県庁内で解決してもらいたい(専務)
○河野副知事から橋本知事へ本格的な報告
[報告内容]
・5億数千万円の金額、無担保、商銀からの借り入れ。
・高知商銀の事業譲渡の手続きを進めている。
・懲戒免職に当たるので受理せず預かりとする。
[指示事項]
・地域経済の混乱を防ぐことが大切、最善の努力を。

○河野副知事
・知事に対しては、この件は非常に詳しく報告することが必要と判断し、この日となった。
・9月にすぐ報告しなかったのは、基本方針の変更等をしなかったため。
・H9以来「返さすことが先決」という判断で商工労働部が対処してきた。
・事業譲渡を検討する段階であり、知事は「その方向でやって下さい」、処分の保留は「それで結構です」、処分は「もうやむを得ない」。
・事務の最高責任者として副知事に任したという気持ちだったと思う。

○橋本知事
・5億円を超える不正融資であるとの報告を受けるまで、私から報告を求めたことはない。それは、本人が必ず返済すると自信を持って言っているとの報告を信じたため。
・新旧副知事間の引継がされていたかについても、関心を払っていなかった。
・この間、全く問題意識を持たなかった。
・従来、事務のトップである副知事が内部的な事務については責任を持って処理するという区分けが出来ていた。
11年2月19日   ○前田商工政策課長が元県幹部に面談
11年2月22日 ○高知商銀専務が来庁(商工政策課)、事実確認
・担保は特許権(某民間企業の所有)
・2月23日に担保提供者と面談する。
・土地(某民間企業)は万々、初月地区の深部に1ha。
○商工労働部が高知商銀専務に対し、下記事項を指示
・特許権の評価を弁理士に依頼すること。
・担保力のあるものは本人分を含め、全て提供を受けること。
11年2月24日   ○前田商工政策課長が元県幹部に確認
・2月25日東京の弁理士に特許権の評価を依頼に行く。
・直近2通の念書は、高知商銀から元県幹部に返却。
・元県幹部自宅(2500万円)、山林(4000万円)も担保に入れる。

○前田商工政策課長が元県幹部に指示
・3月は上記のことが出来れば乗り切れるが、合併等になれば乗り切れない。早急に借換措置等を講じること。
※特許権と元県幹部の自宅2500万円、友人の山林4000万円を併せれば5億円になる。
11年2月26日 ○高知商銀専務が来庁(商工政策課)、事実確認
・弁理士による特許権の評価は不可能
・金融機関が特許内容等・市場性を考慮して評価すべき
 
11年2月27日
~3月1日
○事業譲渡の動きに対し、高知商銀側は3月間際まで「自主再建ありき」
 ※当期2億円の利益あり
○前田商工政策課長が元県幹部に確認
・特許権の質権設定による保全不可能を確認

○商工政策課担当者から川村部長、起塚副部長、前田課長に報告
・元県幹部の土地を入担しても、債務超過が確定
・高知商銀の破綻処理での事務処理方針を部として決定
11年3月1日   ○商工労働部から橋本知事、河野副知事に報告
・高知商銀の債務超過が確定
・預金保険機構等との事前協議を開始 
11年3月2日 ○県内水面漁業協同組合連合会専務から元県幹部に文書を返却
 (1500万円の借り入れに際し、財団の運転資金である旨の文書)
 
11年3月3日
~4日
○元県幹部の職場出勤はこの日が最後、後は休暇を取得  
11年3月4日 ○元県幹部から顛末書の提出、森光海洋局長が預かり河野副知事に提出
 ・海洋局長、はじめて「投機」であることを知る。
○高知商銀と事業譲渡について協議
11年3月5日   ○嵐人事課長が元県幹部から事情聴取
1この時、初めて「大豆の先物取引」が判明

2融資について
・融資の形
「名義は母親となっているが、借りるのは私都築弘一であるという確認になるものを入れている。”商工政策課長”はあくまでも括弧書きで名前の後に入れている。業務とは関係ないということ」
・担保物件は
「自宅の土地の権利書と実印を渡した」

3借入金について
・総額は
「金利を入れて5億3千万円くらい」
・何回に分けて借り入れたのか
「メモを持っていないが、6回くらいに分けて」
・何時からか
「第1回目は平成8年6年17日で、確か6000万円、そのあとは2000万円とか3000万円とかの額の時もあった」
・前に借りた分を返すために借りたということか
「そうではない」
・借り入れや保証の形は全て同じか
「そのとおり」
・最後に借りたのは
「はっきりしないが、平成9年4月頃、夏までにはなっていなかった」
・この間の利息はどうしたのか
「利息については、支払いをしていた」
・借り入れ理由などについて
「海洋深層水関連の用地で事前に手だてをせんといかんことがあるということで借りたもの。私、都築弘一の業務遂行上借り入れるもので、県庁の組織としてで はなく、個人として動くため、個人としての業務遂行のためという説明。県にばれると困るという話しもしている。」
・個人としての業務遂行の中身は
「実際は、私の個人的なことに充てている。投資関係です」
(ここで、大豆の先物取引がわかった)

4返済の見込みなどについて
・一昨年12月末に返済できる目処があるといった根拠、結局実現しなかった理由
「その時は元手が2億5千万円くらいになっていたが、その時全部処分すると4千万円くらいになっていた。11月は値段が上がってくる時期であったので、2 億5千万円が6億円になるのも簡単である。結局、チャンスを逃したりして4月の時点では11月と同様4千万円しか残らない状態に戻っていた。ただ、4月に 4千万円であっても、1年後に はそれが5億円になることは可能なので、その後親戚からも借金して 入れ込んだが、それもなくなっている。最後に農協で親戚に借りてもらった1300万円 のうち800万円は何とかしたが、500万円ほど残っている。家にも貯金はほとんどない。あせってあせって投資するので、失敗を繰り返した。」

5公務との関わりなど
・第三者に相談したことはあるか
「相談したことはない」
・職員で知っているものはいるか
「誰にも言えなかった」
・商工政策課長として本来公費が必要ということもあったのでは。行政上の活動資金として
「全くない。全て個人として必要だったお金」
・職員、元職員に借金を申し入れをしたことはあるか
「職員の友人に頼んだことはある」
・その関係の借金は済んでいるのか
「済んでいる。それは平成8年の前のことなので」
・頼んで断られたことはないか
「だいたい、頼んだらOKしてもらっていた」
・仕事上の付き合いのある人に融資を頼んだり、融資を受けたことはないか。商工政策課長として。
「商工政策課長としてはないが、企業の人にお願いをして一時立て替えてもらったことはある。ただ、商工政策課長以前の関係の人」
・その分の返済は済んでいるのか
「チャラになっている。職務に関連することで借りたことはない。会社に借りていても、社長個人ということで」
・昨年暮れに、高知商銀に出した文書についてどうか。深層水の土地云々について
「深層水の周辺の土地、事業が仕上がると金が入ってくるというつじつま合わせをしている。最初に商銀の専務に頼んだときに、深層水がらみで金が必要と言うことで借りていたので」
・知人の社長に貸して、逃げられたという話は
「それも全くのいつわり」
・商銀の専務が独断でそんな融資ができるのか
「実質、専務が業務を取り仕切っていた」
・理事長は
「会ったこともない」

○嵐人事課長から総務部の上司、川村商工労働部長に報告

○森光海洋局長が人事課長から確認(須崎及び内漁連の話はなかった)
11年3月8日 ○森光海洋局長が「ある人」に呼び出され相談を受ける
・以前、元県幹部から「金がいるから貸してほしい。造船会社を紹介してほしい」ということで紹介したが、今日本人が来て、「全部嘘だった。返せなくなった」ということだが、何かあったのか。
 
11年3月9日   ○森光海洋局長から広沢次長に対して確認及び報告
・元県幹部が須崎の造船会社役員から1500万円の融資を受ける際、連帯保証人として署名押印しているが事実かどうかの確認。
・広沢次長は全然身に覚えがなく、無断で名前を利用されただけ。
・元県幹部が商銀から5億円の巨額融資を受けていることを報告。

※名目に使われた水産会社への確認は、商銀事件が公になっていないので体 面があり、懲戒処分後に実施。

○広沢次長
・前局長、次長いずれからも引継なし。人事当局や商工労働部からも連絡報告はなかった。
・もう少し情報があればという思いはある。

○森光海洋局長が河野副知事、嵐人事課長に須崎の事件について報告
・元県幹部が金を借りて返せなくなっている。完全な詐欺である。
・連帯保証人にされた職員は、記憶も印鑑も押したことはない。

○嵐人事課長が河野副知事から、須崎の事件(1500万円)について聞く。
11年3月15日 ○元県幹部が高知地検に自首  
11年3月16日   ○懲戒委員会で懲戒免職処分を決定
懲戒免職辞令交付(河野副知事、嵐人事課長)
[懲戒理由]
・虚言を弄して金融機関から多額の借金をし、返済不能に陥ったことは県職員の重大な信用失墜行為にあたる。
※川村商工労働部長から「現在高知商銀の事業譲渡の話が進んでおり、微妙な時期なので、事業譲渡が決まるまでは伏せておいてほしい」と懲戒委員に依頼
[兵谷総務部長]
・懲戒処分段階では、高知商銀からの借り入れが法令違反ということは把握していない。
・商工労働部と総務部の十分な連携がなかった。
[前田商工政策課長]
・総務部との打ち合わせ等は行っていない。
・先物取引と知ったのは、懲戒免職処分後。

○商工労働部は、この時点で「万事窮した」と認識

○須崎の事件の1500万円についても先物取引に充てていたことが判明

○海洋局が融資の名目とされた水産会社の代表に確認
・元次長に対して水産会社から、資金の手当の依頼や要請を行った事実は一切ないことが判明。
11年3月17日
~18日
  ○海洋局長と県内漁連専務との電話連絡
・他の要件での話の中で、心配になっていたので「金は返済されているか」と確認、専務は「返済されている。心配ない」
11年3月19日 ・高知商銀は事業譲渡しかないということで確認  
11年3月23日 ○融資した造船会社の専務が、連帯保証人とされた広沢海洋局次長に事実確認のため、海洋局を訪問
・広沢次長が融資に関与した事実はない旨を説明

○県が定期人事異動発表
 
11年3月下旬 ○高知商銀、事業譲渡について県の考え方に歩み寄り  
11年4月8日 ○高知商銀理事長ほか2名が事業譲渡について広島商銀と協議    
11年4月9日   ○商工政策課、四国財務局との協議により、共同検査の実施を決定
11年4月13日   ○商工政策課、高知商銀に共同検査を通告
11年4月20日 ○高知商銀専務が自殺

○県警が元県幹部を須崎の件による詐欺容疑で逮捕
 
11年4月21日
~23日
  ○中国財務局、広島商銀、四国財務局に対して、高知商銀の事業譲渡について、高知県として協力要請
11年4月26日 ○高知商銀理事会にて、事業譲渡決定 ○商工政策課、四国財務局等と協議                  
11年4月28日 ○高知商銀、県へ「68条(金融機能の再生のための緊急措置に関する法律)の申し出」
・広島商銀理事会にて、事業譲渡受け入れを決定
・広島商銀への事業譲渡を記者発表
・「信用組合高知商銀顧問団」を設置
○高知商銀に対して業務改善命令を発する。
11年5月6日
     ~7日
  ○臨時議会提出資料の「たたき台」として、県が内部資料作成(A3、5枚)
・商工労働部、総務部のメモ等の合作資料(11.8.3付け新聞報道される)
・作成部署:商工労働部
・商工政策課:H11.1下旬からは、毎日作成
・内部資料は3.16までの記載だが、懲戒処分までを意識して作成。
以降がないため、新たに翌日、付け加えた。  
11年5月8日   ○臨時議会提出資料として正式に作成(A3、3枚)
11年5月9日   ○知事、副知事が所管部長から、臨時議会提出資料(A3、3枚)の説明を受ける
・5枚資料については新聞報道まで知らず
11年5月10日 ○元県幹部を詐欺容疑で起訴(須崎の詐欺事件1500万円) ○知事が記者会見
・高知商銀への県としての財政支援は考えていない。新しい金融破綻処理方法が出来てからは、過去にこうした事例に財政支援なし。
11年5月11日 ○臨時議会開会(会期:5月14日までの4日間)  
11年5月13日 ○一連の不祥事について本会議で代表質問(4名)

○総務委員会・産業経済委員会で審議
 
11年5月14日 ○産業経済委員会で前日に引き続き審議を行ったが、真相究明にはほど遠く、議会運営委員会へ
○議会運営委員会を開催
・元県幹部職員による巨額借り入れ焦げつき関連事件調査特別委員会(以下、調査特別委員会という)を設置することで一致

○本会議で県政史上初の知事に対する「問責決議」を賛成多数で可決

○本会議で調査特別委員会の設置を決議

○調査特別委員会の組織委員会を開催
  
11年5月14日以降   ○山本前副知事、川村前商工労働部長と現職(前田商工政策課長を含む)で 一度、今までの現状把握のため、話し合いをする
11年5月15日 ○県警本部捜査二課と高知地方検察局が、高知商銀・商工労働部
・海洋局を 「背任容疑」で家宅捜索
 
11年5月25日 ○第1回調査特別委員会
・商工労働部、総務部、海洋局から事情聴取
 
11年5月31日 ○正副委員長から県警本部長等に対し、資料提供等の協力要請
・捜査に支障を及ぼす恐れのあるものは協力できない。
 
11年6月7日 ○第1回調査特別委員会での質疑に対する商工労働部の回答
・山本前副知事への報告について川村前部長に再度確認した。「報告用メモは作っていたと思うが、口頭でしたと思う。確認書を見せながら、高知商銀の検査で 元県幹部の母親名義で5億2500万円の多額の無担保融資が行われ、その連帯保証人である。大変なことである
・メモについては、県警に押収されている書類の閲覧・確認をしたが
報告用の手元メモであり証拠書類の中にはない。
・H8.6.20~H9.4.8の借り入れ回数(9回)、貸付日、貸付金額、償還期日の一覧表を提出。
・H7年度の定期検査資料は県警の重要な証拠書類なので提出不許可。
 
11年6月17日 ○初公判で、元県幹部が「詐欺罪」の起訴事実を全面的に認める
【起訴事実】
商品先物取引の資金繰りに窮し、H10.10.24頃、須崎の造船会社社長から1500万円を詐取。貸借契約書用紙に別の県幹部職員の名前と印鑑を無断で使用し、連帯保証人に仕立てて偽造、県議を介して契約書を提出、29日に個人口座に振り込ませた。
【冒頭陳述】
・H5年5月頃、大豆の先物取引に勧誘され、17日、委託証拠金300万円を入金。
・12月末までに8228万円を入金。
・H8年6月、高知商銀から融資を受け始め、10年3月末までの利息も含めた債務総額は5億3660万円に達した。
・H10.10.19、県議に1500万円の融資先の紹介を依頼。
・県議を立会人として偽造契約書4通を作成、1500万円のうち1400万円を先物取引に投資。
・H11年3月の取引終了時点の証拠金の返金額は727万円。7億円余を投資し、損失や委託証拠金などを含め、約5億円を失った。
 
11年6月23日 ○第2回調査特別委員会
 ・商工労働部、総務部、海洋局から事情聴取

◇前田商工政策課長
・違反というが、検査の中でちょくちょく見ている。これだけが特別という気にはならなかった。
※前回の答弁(山本前副知事への報告内容)の訂正
・無担保融資である旨の報告はした。
・員外貸付、法令違反までは報告していない。
(前回は、副知事への報告は金額のみで、無担保・員外貸付・限度額超過までは報告しなかったと答弁)

◇総務部長
・前副部長から「困ったものだ」という話は聞いていたが、人事管理上、処分すべき問題とは認識しなかった。
・法令違反ということを知ったのは3月16日の処分後であり、十分な連携がなかった。

※調査特別委員会に理事会を設置、理事6名を決定

○調査特別委員会理事会開催
 
11年6月28日 ○県議会6月定例会開会(会期:7月7日までの10日間)  
11年7月3日 ○高知商銀通常総代会を開催
・広島商銀への事業譲渡について合意(譲渡契約内容が固まった時点で臨時総代会を開催し正式決定する)
 
11年7月5日 ○監査委員事務局がオンブズマンからの「高知商銀への支援差し止め請求を却下
・請求理由:公金を使った救済は違法もしくは不当な公金支出
・却下理由:公金支出の可能性は客観的・具体的に、今あると言えない。
 
11年7月6日 ○県警本部捜査二課と高知地方検察局が高知商銀元理事長・常務ら4名を逮捕、元県幹部を再逮捕(組織的な不正融資)  
11年7月9日 ○第3回調査特別委員会
 ・山本前副知事、川村前商工労働部長、前田商工政策課長から事情聴取

[山本前副知事]
・絶対に返せると言われ信用した。
・「5~6月ごろには返済する」ということだったから、商工労働部からは機会があれば、「どんな具合か」といろいろ聞いたような記憶がある。
・彼のフォローは商工労働部にお願いするつもりだったので、何かあれば報告があると思っていた。
・借り入れ理由の海洋深層水云々については今の今も承知していない。

[川村前商工労働部長]
・金融破綻を恐れて回収を優先。
・告発まで思い至らず、反省。
・辞表撤回、腑に落ちない。

[商工政策課長]
※9件の貸付手形の書き替え経緯、金利の支払いについて高知商銀から聞き取り調査。
・1~2カ月の期日で書き替え、回数は最初の分で12回、最後の分で5回。
・金利は書き替え時点で支払い(1670万円)、元県幹部、家族名で振り込み。
・実際の金の受け渡しは11回で約5億500万円、差額の2000万円は利息の支払に充てた。
・H10.3.31に利息分1160万円を借り入れて利息に充当、これ以降は延滞。
・受渡方法は、高知商銀の職員が口座から現金を引き出して、近くのホテルのロビーで10回、海洋局で1回本人に渡した。
・この事例の貸付限度額は1億6700万円。
・法令違反融資は検査の中でちょくちょく見ている、貸付限度オーバーや無担保(担保不足)は数件ある、員外貸付はほとんどない。
・代表理事は2名(理事長と専務)。理事長は体の具合が悪く、当初からの関わりのある専務を窓口とした。
・事件と事業譲渡とは無関係。

○調査特別委員会理事会開催
 
11年7月12日 ○報道機関の記者が海洋局訪問(海洋局長、次長同席)
・(財)内水面種苗センターの公金流用の疑いを初めて知る。
・広沢次長は、須崎の事件も同額の1500万円であり、どこかで関連があるのではないかと感じた。
○海洋局長がこの件を知事、副知事に報告。
11年7月13日   ○水産振興課課長補佐が財団の預金口座及び関係帳簿等を確認
・財団の経理上からは、1500万円の返済、払い出しの事実はなかった。
・財団から内漁連へは、H10.8.4に7500万円貸付け、H11.6.25に全額返済されている。

○海洋局、上記の件を副知事、総務部副部長に報告
11年7月15日 ○元県幹部の(財)内水面種苗センターの公金流用について報道される。
・元県幹部が県内水面漁業協同組合連合会から1500万円を不正に借用し、3カ月後に返済。

○河野副知事は新聞報道で財団の公金流用ということを知る。

○元県幹部が複数の企業から総額1億5千万円借り入れしていた事実が報道される。
・県外2社、県内1社、H7.4~H9.3、5回(いずれも返済済み)
・その他、個人として複数の企業関係者から1700万円を借金
 
11年7月22日 ○高知商銀の常務のメモの存在が報道される。
・H10.7.27:副知事も知っていて、県で解決方法を話し中と報告あり。
・H10.11.11: 県が責任を持って2月補正予算で解決する。
○前田商工政策課長が全面否定
・常務から融資の件で聞かれたのは11月11日だけ。補正の話はせず、巨額融資は上司に報告しているという内容だけ答えた。
・上司については、副知事の名前を出していないことだけは明確。
11年7月23日 ○第4回調査特別委員会
・委員長が、前回の委員会での前副知事の答弁と臨時議会での知事答弁の食い違いについては「多少のニュアンスの違いはあるが、答弁の食い違いとまでは言い難い」と報告。
・河野副知事、上岡商工労働部長、嵐総務部副部長から事情聴取
※H9に「とにかく返さすことが先決と判断し対処している。私もその考え方で行くと判断した」(河野副知事)
※貸付限度額超過が法令違反とは最近まで知らず。員外貸付は知らない(嵐副部長)


○調査特別委員会理事会開催
 
11年7月24日 ○高知商銀が旧経営陣らを告訴
・元県幹部、前理事長・前専務を背任容疑で県警捜査二課に告訴。
・担保を取らず5億円余りを融資し、商銀に損害を与えた。
 
11年7月26日 ○第5回調査特別委員会
・森光海洋局長、広沢海洋局次長から事情聴取

[森光局長]
・財団の事務管理体制をチェックし、事務処理規程も含め改善に努める。
・まだ何かないか調査したところ、2~3の漁協に話を持ち込んだらしいが融資した事例はない。
[広沢次長]
・内漁連の専務と財団の専務は同一人物である。
・財団については、事務処理上の仕組み、実行面で非常に不備があるので、反省し改善を進める。

○調査特別委員会理事会開催

○高知地方検察局が高知地裁に、高知商銀前理事長と元県幹部を1億5千万円の「背任罪」で起訴、又は追起訴。高知商銀常務ら3名は、同日処分保留で釈放。
[起訴事実]
・前専務と3名は共謀し、元県幹部の利益を図る目的でH9.4月、1億5千万円を不正融資し全額焦げ付かせた。
・H8.6月~H9.4月にかけて計9回、5億2500万円を融資。全て無担保・員外貸付などの不正融資。特に9回目はそれまでの融資が一切返済されないままの返済期限を過ぎた追い貸しだった。
 
11年7月31日 ○県警捜査二課と高知地方検察局は高知商銀前理事長(背任罪で起訴済み)を背任容疑で再逮捕、融資を受けた前監事を逮捕。
・前監事の経営する会社に、返済見通しがないにも係わらず3000万円を融資し損害を与えた。
 
11年8月2日 ○高知商銀前理事長と前監事を高知地方検察局に送検
・不正融資の経緯について本格的に追求(前専務と共謀)
・H7.10月、焦げつきの危険性がありながら前監事に3000万円を不正融資
 
11年8月3日 ○存在しないはずの県の「内部資料(A4判5枚)」が報道で明らかにされる
・「県、財務局に1年以上”隠す”」との見出し
・H9.10月の金融検査からH10.12.25の財務局金融監督課長に事実を報告するまでの間の空白について
[前田商工政策課長]
・多くの人間が知ると周辺に広がって、表に出る可能性が大きくなる
・副知事に最初に報告した際、大事なのは返済させることで、それには一定の時間が必要だという方針が定まっていた。
[財務局金融監督課長]
・守秘義務があり、我々から外部に漏れることはない。何をもって広まるというのかわからないと不快感を表明。
・信用組合の監督責任は県にある。しかし事と次第によっては、協議すべき事柄があり今回はそれに当たる。情報があれば状況も変わっていたかも知れない。

○第6回調査特別委員会
・岡林元出納長、鍋島出納長、久武商工政策課金融班長から事情聴取
[新旧出納長]
・新旧副知事の3月28日の引継では、この問題についての引継はなかったということで一致したが、引継は1回だけではないのではないかという発言あり。
[久武金融管理班長]
・高知商銀常務メモを否定
・H10.10.27の訪問を否定。上司に報告しているという趣旨の発言はしたが、県で解決すると言った記憶はない。
・高知商銀の貸出稟議書と元県幹部の商銀への「確認書」の内容の相違については、違うとの認識がなく、県で調査・確認はしていない。

○調査特別委員会理事会開催
 
11年8月6日 ○調査特別委員会理事会開催  
11年8月9日 ○県政記者との懇談会で橋本知事が専決処分について発言
・議会に事前に説明せずに、知事が一連の不祥事の管理責任をとり9月から3カ月の給料を全額カットする専決処分を行うと発言。
 
11年8月12日 ○第7回調査特別委員会
・河野副知事、商工労働部、総務部から事情聴取
・副知事同士の引継は2回あったと修正
※内部資料の提出を要求
・執行部は「たたき台」の資料であり、廃棄して手元にないと回答。
・当委員会の委員が入手したものを、一部墨塗りして、公表する。
・県警に押収されている商工政策課のFDの文書作成日の確認要請。
[副知事等]
・意図的に情報を隠したり削除したりはせず。
[嵐総務部副部長]              ・本人からも商工労働部からも、地位利用ということは聞かなかった。

○調査特別委員会理事会開催
 
11年8月13日 ○議会事務局職員が県警捜査二課、商工政策課立ち会いのもとで内部資料のフロッピーで文書の作成日等を確認

○県警本部捜査二課が高知商銀前理事長と元県幹部を追送検(いずれも背任罪で起訴済み)
・元県幹部への融資のうち既に起訴された1億5000万円を除く3億7500万円についても背任容疑で地方検察局に追送検(これで融資した5億2500万円すべてが不正融資として送検)
[理由]
・元県幹部の利益を図る目的でH8.6月~11月までに8回、3億7500万円を不正融資し全額焦げつかせ、商銀に損害を与えた疑い。
・追送検の3億7500万円はH9.4月に実行された1億5000万円の不正融資と同様、無担保のうえ回収が危ぶまれる状態を知りながらの融資
*県警本部→全融資の違法性を立件
 
11年8月18日 ○議会事務局職員が県警、商工政策課立ち会いのもとで内部資料のフロッピーと公式文書のフロッピーで文書の作成日等を確認  
11年8月19日 ○調査特別委員会理事会開催
・3種類の文書の作成日等について協議(商工労働部メモ、たたき台資料、公式資料)
・概ね執行部説明の日付と一致するが、更新前の確認が不可能であり、執行部の説明を証明するものでも否定するものでもないと結論

○8回調査特別委員会
・フロッピーの件について、委員長が理事会の結論を報告
・橋本知事から事情聴取

○調査特別委員会理事会

○預金保険機構が高知商銀前理事長らを再告発
・3千万円の不正融資と元県幹部に対する3億7500万円の不正融資について、前理事長らを背任罪で県警捜査二課に告発、受理。

○高知地方検察局、元県幹部への融資3億7500万円についても背任罪で、高知商銀前理事長と元県幹部を追起訴。共犯の商銀常務、貸付課長、貸付係長の3名は起訴猶予処分。
【起訴事実】
・高知商銀前理事長と元県幹部は商銀前専務と共謀、元県幹部の利益を図る目的でH8.6月~8月の2回、貸付金9500万円のうち金利を差し引いた約 9164万円を、更に、H8.6月~11月までの6回2億8000万円を不正融資し、全額焦げつかせて高知商銀に損害を与えた。

*既に1億5000万円に関して起訴しており、5億2500万円のうち、融資実行の際に事前に差し引いた金利分を除く計5億2164万円が起訴された。
 
11年8月30日 ○第9回調査特別委員会
・委員会報告書のとりまとめ
 
11年8月31日 ○橋本知事が一連の責任を取り、専決処分によって「知事等の給与、旅費等に関する条例」を一部改正し、9月から3カ月間、自らの給料を全額カットすることを決定。  
11年9月13日 ○調査特別委員会理事会の開催
・委員会報告書の原案作成
 
11年9月16日 ○第10回調査特別委員会
・委員会報告書のとりまとめ