平成12年9月定例会の概要(9月25日(月)-10月13日(金)会期:19日間
公開日 2014年03月26日
INDEX
1 日 程 | ・定例会日程 |
2 知事提案説明 | ・知事提案説明要旨 |
3 議 案 | ・本会議審議の結果 |
1 日程
9月25日(月)-10月13日(金)(会期:19日間)
2 知事提案説明
●知事提案説明要旨(平成12年9月25日)
本日、議員の皆様の御出席をいただき、平成十二年九月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。
地方分権一括法がことし四月に施行されましてから半年が 過ぎようとしています。国と地方の役割分担が明確化され、地域のことは地域で決めるという自己決定権と自己責任の拡充が求められます中、地方分権を推進し てまいりますためには、県民の皆様の行政への参加の機会を今まで以上に拡大していかなくてはなりません。こうした状況のもと、これからの地方自治のあり方 について、私自身改めて考えさせられることがございました。
その一つは、自治基本条例の制定の取り組みに関してでご ざいます。二十一世紀の扉が開かれようとしております今、新しい地域社会を築いてまいりますためには、これまでのような公共サービスは行政が担うものとい う従来の考え方を見直して、官と民とが協力をしながら県民の皆様の満足度を高めていくといった、新しい公共の形をつくり上げることが必要です。また、その ためには、住民みずからが、これからの自治のあるべき姿やそこに至りますための課題などを考えました上で、自治をみずからのものとしてとらえ行動する土壌 づくりから始めなければなりません。
そこで、これまでプロジェクトチームで検討してまいりま した自治基本条例の案を一つの素材としながらも、より十分な時間をかけて、県民の皆様とともに今の時代にふさわしい自治のあり方を一から議論し直していく ことにいたしました。これからの検討のプロセスを通じまして自治の意識が育ちますように、また県民の皆様と行政とがさまざまな問題を一緒になって考えまし た上で、おのおのの役割を適切に分担し合える新しい関係を築いていくことができますように、議論への幅広い参加を呼びかけてまいります。
あわせまして、県政の基本指針に関しましても、自治基本条例をめぐるこうした一連の取り組みを踏まえながら、検討していきたいと考えております。
もう一つ、地方分権に関連しまして、県民の皆様とともに 改めて問い直してみたいと思いましたことは、中土佐町での採石場の開発に関する問題でございます。今回のケースでは、県からの意見の照会に対しまして中土 佐町長から自然環境を破壊する岩石採取のための大規模開発には賛同できないという内容の回答がありましたし、町の議会でも県に事業の不許可を求める意見書 が採択されております。また、開発計画に関します企業からの説明が、地元住民の皆様の幅広い御理解を得ます上で、必ずしも十分なものであったとはいえない との声もございます。にもかかわらず、現在の法体系のもとでは、許認可の要件が満たされれば、地域の方々の思いとはかかわりなく法的な手続上の処理が進ん でしまうことになります。このため、このままでは地方分権の基本理念に反することになるのではないかとの疑問を抱かざるを得ませんでした。
こうしたことから、一定の期間、結論を留保いたしまし て、この点に関しましての県民の皆様の御意見をお聞きしました上で、慎重に判断したいと考えました。近いうちに県としての最終決定をいたしますが、今回の ことを一つの契機といたしまして、現在のさまざまな制度が地方分権という大きな法体系の変革を踏まえたものになっているのかどうかといった視点から、地方 自治が抱えます諸課題につきまして、県民の皆様とともに議論を深めていきたいと考えております。
昨年十二月に制定いたしました職員倫理条例に基づきまし て、現在、外部の委員から成ります職員倫理審査会の意見をいただきながら、県の職員が利害関係者と接する上での制限や禁止事項などを具体的に定めます職員 倫理規則の制定に向けて作業を進めております。職員として、公務に対する信頼の確保に努めますこと、また県民の皆様から疑惑や不信を招くことがないように 行動すべきことは当然でございますが、一方で県民の皆様との意思の疎通を図り、多様化する住民ニーズに対しまして身近に対応していくこともあわせて求めら れております。
今後、こうした点や審査会の意見も踏まえました上で、年内にも職員倫理規則を制定したいと考えております。
県と市町村との広域的な地域情報通信ネットワークを充実 させますため、今回、情報スーパーハイウェイとの専用線による接続や、市町村の庁内LANの整備などに取り組むことにいたしました。これによりまして、総 合防災情報システムのネットワークが強化されますほか、住民の皆様が必要としますさまざまな行政情報を迅速に把握して提供することが可能になりますことか ら、県民の皆様への行政サービスが一段と向上するものと考えております。
また、多様な情報をやりとりできます携帯電話が最近急速 に普及しておりますので、県におきましても、iモードを活用した情報提供サービスを今月から開始いたしました。これによりまして、二十四時間いつでもどこ でも本県にかかわる幅広い情報を手軽に入手することが可能になりました。今後とも、情報化の便利さをだれもが実感できますよう取り組みを進めてまいりま す。
介護保険制度に関しましては、これまで市町村長との意見 交換会や居宅介護支援事業者との連絡会議を開催いたしましたほか、制度のあり方に関します県内のすべての市町村を対象にしましたアンケート調査などを通じ まして、制度の現状や課題の把握に努めてまいりました。その結果、必要な介護サービスの量はおおむね充足されておりますが、その一方で介護サービスの質的 な面での課題や、低所得者の自己負担を軽減しますために現在行われております特別対策の制度上の問題点などが明らかになってまいりました。
また、この十月からは六十五歳以上の高齢者の方々にも保 険料を負担していただくことになります。県といたしましても、マスコミを通じまして、県民の皆様に介護保険制度に対する一層の御理解をいただけますよう取 り組んでまいりますとともに、これまでに明らかになりました課題や問題点を整理いたしまして、保険者である市町村とともに、介護保険制度がよりよい制度と して定着しますよう努めてまいります。
先般マスコミでも報道されましたが、児童養護施設で性非 行が繰り返されておりましたことは、施設で生活する子供たちの人権を守ります上で、大変重大な事態だと受けとめております。問題の発生が明らかになりまし て以降、施設を指導する立場にあります県といたしましても、入所している子供たちの心のケアに努めますとともに、施設の立ち入り調査などを実施いたしまし て改善策の検討を進めてまいりました。その結果、今回のことは、子供たちを取り巻く環境が大きくさま変わりしております中で、施設側の受け入れ態勢や指導 に当たります県の対応が十分でなかったことに原因があるのではないかと考えております。
今後は、こうした反省に立ちまして、日常的なかかわりの 中で子供たちの状況に応じました適切なケアのできる人材の育成や、ともすれば閉鎖的になりがちな施設を地域に開かれたものにしていくための取り組みを支援 してまいります。あわせまして、外部の有識者などから成ります委員会の設置など、施設の運営をより子供たちの側に立ったものにしてまいりますための対策が 着実に実施されますよう指導を徹底してまいります。
本県の主要な産業であります園芸農業は、景気の低迷によ ります消費者の買い控えと低価格志向、さらには輸入野菜の増加などを背景といたしまして、価格が二年続きで低迷しております。そのため、平成十二園芸年度 の園芸連の売上高は対前年度比で七・二%、金額にして五十六億円程度の減少が見込まれますなど、園芸農家にとりましては非常に厳しい経営環境になっており ます。
そこで、県といたしましても、本県におけます園芸農業の 重要性から判断いたしまして、施設園芸農家の経営の安定と再生産を支援いたしますための新たな融資制度の創設や、レンタルハウス事業の拡充を内容といたし ます緊急対策を実施することにいたしました。あわせまして、今月の初めには、いいものを安く安定的に供給できる産地づくりを目指しまして、農業関係の団体 や生産者の方々とともに「園芸こうちパワーアップ戦略会議」を設置いたしました。この会議の中で、それぞれの役割分担を明確にしながら多方面にわたる戦略 づくりを進めてまいりますとともに、今後方向が定まったものから順次実行に移していきたいと考えております。
さらに、私自身も率先してセールスを行いますなど、本県の園芸農産物の全国に向けた情報発信に取り組んでまいります。
今年度からスタートいたしました中山間地域等直接支払制 度に関しましては、先月、集落協定に規定すべき内容などを定めます市町村の基本方針の認定を行いました。これを受けまして市町村では、集落協定を認定いた しますための作業が進められております。こうした中で、山間部での必要な農用地面積の確保や高齢者による営農の継続が難しいなどの課題も明らかになってき ておりますが、今後とも関係する市町村との連携を密にしながら、制度の円滑な実施に努めてまいります。
室戸の海洋深層水は、消費者の健康志向など時代のニーズ を反映しまして、飲料水を初めとします食品や化粧品などの生活関連分野を中心にますますその利用が拡大しております。この七月には、室戸市三津地区に全国 的な海水の総合化学メーカーであります赤穂化成株式会社の深層水事業所が完成いたしましたし、高岡地区では県内二社の新しい工場の建設が順調に進みますな ど、東部地域の雇用の確保と経済の活性化に着実に結びついております。
今後、海洋深層水を地域のさまざまな産業の振興につなげ てまいりますためには、海洋深層水に含まれますミネラルなどの有効な成分を活用しました新製品の開発や、海域の肥沃化などの技術開発に向けました多角的な 研究をさらに進めていく必要がございます。そのため、室戸市高岡地区に、国内の研究機関や企業などと連携しました共同研究を行いますための施設を整備する ことにいたしました。
また、水産の分野では、これまで海洋深層水研究所で研究 を進めてまいりました放流用のヒラメの種苗生産技術に実用化のめどが立ちましたので、採卵用親魚の養成施設を室戸市高岡地区に整備することにいたしまし た。この施設が完成いたしますと、海洋深層水を利用しました病気にかかりにくいウイルス・フリーの受精卵の供給が可能になりまして、種苗生産の安定と向上 が図られますので、これを沿岸漁業の漁獲高の増大につなげてまいります。
平成二年から整備を進めてまいりました宿毛湾港の池島地 区は、地元の漁業者や地権者を初めといたします関係者の皆様の御協力をいただきまして、ことし十二月二日に一部の供用を開始する運びになりました。今後 は、宿毛市や地元の経済界と一体となりましてポートセールスや企業誘致に積極的に取り組みますことで、宿毛湾港を核としました西南地域の一層の産業振興に 努めてまいります。
また、ことしの十一月二十日からは、友好提携港の国際 ネットワーク--通称INAPの第三回総会が高知市で開催されます。この会議を通じまして、各国の港湾関係者の交流の促進や情報交換などを行いますととも に、新たな産業の創出や経済交流の拡大に向けまして、各地域の物産の展示販売会や商談会を実施することにしております。あわせまして、この機会を国際的な 文化交流の場としても活用していただきたいと考えておりますので、広く県民の皆様の御参加をお願い申し上げます。
これまで中高連携教育に先進的な取り組みを進めてまいり ました嶺北、津野山、大正・十和の三つの地域で、連携型の中高一貫教育校が平成十三年四月からスタートすることになりました。これらの地域では、これまで にも郷土学習や環境教育、さらには伝統文化の継承といった体験活動の分野で、地域の特色を生かした取り組みを進めてまいりました。今後は、学習や生活、部 活動などの幅広い分野で六年間を通じました計画的で継続的な指導が可能になりますので、こうした中高一貫教育のメリットを生かしまして、子供たちの学力や 個性、創造性を伸ばしていきたいと思います。
また、併設型や中等教育学校といった形態の中高一貫教育校に関しましても、平成十四年度以降の開設に向けまして引き続き検討を進めてまいります。
こうした教育改革に向けました取り組みを進めております さなかに、小学校の教頭によります十五歳の少女に対する買春など、教員による不祥事が相次いで発生しました。一連の不祥事は、教育に携わる者全体の自覚や モラルを疑われる言語道断の行為でございますし、保護者を初め県民の皆様の教育に対する期待と信頼を大きく裏切る行為でございます。心から深くおわびを申 し上げます。
今後は、教職員の一人一人が、一連の事件を自分自身のこ ととして考えますとともに、自主的な意識改革に取り組んでいくことが求められます。服務規律を徹底することはもとより、県や市町村の教育委員会と学校現場 の教職員とのコミュニケーションの確保や学校内での風通しのよい職場づくりなどに努めまして、子供たちや保護者、県民の皆様からの一日も早い信頼の回復を 図ってまいります。
また、今月十三日には、県の職員が詐欺の容疑で逮捕されました。まだ事実関係の確認ができておりませんが、容疑が事実であれば、法を遵守すべき公務員として決して許されない行為でございますので、今後事実確認の上、厳正に対処してまいります。
このたび、ことしの二月議会で議決していただきました条 例に基づきまして、特別職の秘書に川竹大輔氏を任命することにいたしました。同氏には、今後、私と県民の皆様との間をつないでいただくほか、県民の皆様の 思いを私とともに県庁の組織の中に伝えていく役割をしっかりと果たしていただきたいと考えております。
続きまして、今回提案いたしました議案を御説明いたします。
まず、予算案は、平成十二年度高知県一般会計補正予算など六件です。このうち、一般会計補正予算は、国の公共事業等予備費の配分に伴います国の直轄事業負担金など、総額で四十三億円余りを計上しております。
次に、条例議案は、高知県国直轄港湾工事負担金徴収条例議案など九件です。
その他の議案は、県有財産の取得に関する議案など九件です。
報告議案は、平成十一年度高知県電気事業会計決算など三件です。
以上をもちまして、議案に関しましての私からの説明を終わります。何とぞ御審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。
3 議案
●本会議審議の結果
事件の 番 号 |
件名 | 議決結果 | 議決年月日 |
第1号 | 平成12年度高知県一般会計補正予算 | 原案可決 | 12.10.13 |
第2号 |
平成12年度高知県農業改良資金助成事業特別会計補正予算 | 〃 |
〃 |
第3号 |
平成12年度高知県流域下水道事業特別会計補正予算 | 〃 |
〃 |
第4号 | 平成12年度高知県電気事業会計補正予算 | 〃 | 〃 |
第5号 |
平成12年度高知県工業用水道事業会計補正予算 | 〃 |
〃 |
第6号 | 平成12年度高知県病院事業会計補正予算 | 〃 | 〃 |
第7号 | 高知県国直轄港湾工事負担金徴収条例議案 | 〃 | 〃 |
第8号 | 高知県税条例の一部を改正する条例議案 | 〃 | 〃 |
第9号 |
高知県立総合看護専門学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 | 〃 |
〃 |
第10号 |
高知県動物の保護及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 | 〃 |
〃 |
第11号 |
高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 | 〃 |
〃 |
第12号 |
高知県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案 | 〃 |
〃 |
第13号 |
高知県火薬類取締法関係手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 | 〃 |
〃 |
第14号 |
高知県営住宅の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例議案 | 〃 |
〃 |
第15号 |
高知県建築基準法施行条例の一部を改正する条例議案 | 〃 |
〃 |
第16号 |
県有財産(高知空港緑の広場整備事業用地)の取得に関する議案 | 〃 |
〃 |
第17号 |
県が行う土木その他の建設事業に対する市町村の負担の一部変更に関する議案 | 〃 |
〃 |
第18号 |
池ノ内地区ふるさと農道緊急整備トンネル工事請負契約の締結に関する議案 | 〃 |
〃 |
第19号 |
ふるさと林道緊急整備事業平安トンネル工事請負契約の締結に関する議案 | 〃 |
〃 |
第20号 |
ふるさと林道緊急整備事業床鍋倉川トンネル工事請負契約の締結に関する議案 | 〃 |
〃 |
第21号 |
高知港改修(重要)工事請負契約の締結に関する議案 | 〃 |
〃 |
第22号 |
大正町特定環境保全公共下水道大正クリンセンターの建設工事委託に関する基本協定の締結に関する議案 | 〃 |
〃 |
第23号 | 住民訴訟に係る弁護士報酬の負担に関する議案 | 〃 | 〃 |
第24号 | 住民訴訟に係る弁護士報酬の負担に関する議案 | 〃 | 〃 |
第25号 |
高知県公害審査会の委員の任命についての同意議案 | 同意 |
〃 |
報第1号 | 平成11年度高知県電気事業会計決算 | 継続審査 | 12.10.4 |
報第2号 | 平成11年度高知県工業用水道事業会計決算 | 〃 | 〃 |
報第3号 | 平成11年度高知県病院事業会計決算 | 〃 | 〃 |
議発第1号 | 私学助成制度の充実強化に関する意見書議案 | 原案可決 | 12.10.13 |
議発第2号 |
地震防災対策特別措置法の改正に関する意見書議案 | 〃 |
〃 |
議発第3号 |
介護保険制度(低所得者対策)に関する意見書議案 | 〃 |
〃 |
議発第4号 |
育児・介護休業法の拡充と保育施策の拡充を求める意見書議案 | 〃 |
〃 |
議発第5号 |
輸入農産物を対象としたセーフガード発動を求める意見書議案 | 〃 |
〃 |
議発第6号 | 特別間伐事業を創設する意見書議案 | 〃 | 〃 |
議発第7号 | 「核密約」の全容公表を求める意見書議案 | 否決 | 〃 |
議発第8号 |
公共事業の県内業者への優先的発注並びに地元産品の優先使用を求める決議議案 | 原案可決 |
〃 |
議発第9号 | 商工金融行政の厳正な執行を求める決議議案 | 〃 | 〃 |
2 請願関係
事件の番号 | 件名 | 議決結果 | 議決年月日 |
請第1号 |
高知県における義務教育・教科書の採択制度運用の是正について | 採択 |
12.10.13 |
請第2号 |
「自由は土佐の山間より」を県詞にすることについて | 〃 |
〃 |
請第3号 | 原爆被爆者の福祉について | 取り下げ承認 | 〃 |
請第4号 |
県内の中小建設業者の経営と働く者の暮らしを守る請願について | 不採択 |
〃 |
INDEX
1 日 程 | ・定例会日程 |
2 知事提案説明 | ・知事提案説明要旨 |
3 議 案 | ・本会議審議の結果 |