平成16年9月定例会の概要(9月21日(火)-10月8日(金)会期:18日間)
公開日 2014年03月26日
INDEX
1 日 程 | ・定例会日程 |
2 知事提案説明 | ・知事提案説明要旨 |
3 議 案 | ・本会議審議の結果 |
1 日程
9月21日(火)-10月8日(金)(会期:18日間)
第280回高知県議会(9月)定例会日程
月 | 日 | 曜 | 会 議 | 行 事 |
9 | 21 | 火 | 本会議 | 開会、議案上程、知事説明ほか |
22 | 水 | 休 会 | 議案精査 | |
23 | 木 | 〃 | 休日 | |
24 | 金 | 〃 | 議案精査 | |
25 | 土 | 〃 | 休日 | |
26 | 日 | 〃 | 休日 | |
27 | 月 | 〃 | 議案精査 | |
28 | 火 | 本会議 | 質疑並びに一般質問 | |
29 | 水 | 〃 | 質疑並びに一般質問 | |
30 | 木 | 〃 | 質疑並びに一般質問 | |
10 | 1 | 金 | 休 会 | 予算委員会 |
2 | 土 | 〃 | 休日 | |
3 | 日 | 〃 | 休日 | |
4 | 月 | 〃 | 常任委員会 | |
5 | 火 | 〃 | 常任委員会 | |
6 | 水 | 〃 | 常任委員会 | |
7 | 木 | 〃 | 常任委員会 | |
8 | 金 | 本会議 | 委員長報告、採決、閉会 |
2 知事提案説明
●知事提案説明要旨(平成16年9月21日)
本日、議員の皆様のご出席をいただき、平成16年9月県議会定例会が開かれますことを厚くお礼申し上げます。
今年は、6月に台風4号が室戸市に上陸して以来、次々と来襲する台風によって、県内の各地で大きな被害が発生しました。
被災された方々に、心からお見舞いを申し上げます。
特に、台風15号の影響による大雨では、大川村や土佐町など嶺北地域を中心に、土石流による家屋の流失や損壊など、大きな被害が出ましたほか、土砂崩れなどによって道路の通行止めが相次いだ結果、多くの地域が孤立した状態になりました。
そうした中、大川村の朝谷地区で合宿をしていた134名の小学生が取り残されるといった事態も発生しましたが、関係機関の連携によって無事救出することができました。
県では、最も大きな被害を受けた大川村に災害救助法を適用しますとともに、職員を派遣して応急対応や早期の復旧に向けた支援を行いました。
また、台風16号と18号では、県内全域が暴風域に入りましたため、強い風によって、多くの方々が怪我をされたほか、各地で家屋の損壊だけでなく、収穫を目前にした農作物や、本県の園芸農業を支えるビニールハウスなどにも大きな被害が出ました。
加えまして、大規模な停電や電話が不通になったことによって、不便な生活を強いられた方も多かったことと思います。
今後は、被害を受けた地域の方々が、一日も早く元の平穏な生活に戻れますよう、災害復旧に全力を挙げて取り組んでいきます。
このため、今回、可能な限り前倒しで復旧事業を行いますための補正予算や、暴風雨によって農作物などに大きな被害を受けられました農林業の方々が、災害復旧のために借り入れる資金の利子負担を軽減するための債務負担行為の補正を提案しています。
また、被害を受けられた方々に対しましては、県税の納付の期限を延長しますほか、被害の程度に応じまして減免の措置を行うようにしています。
一方、これだけ大きな災害だったにもかかわらず、土砂崩れや家屋の損壊による死者や行方不明者は、一人も出ていません。これは、被災する前の自主避難や 被災者の救出など、地元の消防団をはじめとする地域の方々の迅速で適切な行動が大きく貢献しています。
こうした地域の皆さんの連携が、尊い命を守ることにつながりますし、被害を最小限に食い止めることにもなりますので、今後も、地域で支え合う防災対策を一層推進していきたいと思います。
国と地方の税財源の在り方を見直す、三位一体の改革に関しましては、先月、新潟市で行われた全国知事会議で、国庫補助負担金等に関する改革案が審議されました。
また、そこでは義務教育や公共事業に関することのほか、国と地方との協議機関の設置などをめぐって、白熱した議論が展開されましたが、最終的には、地方としての具体的な改革案を取りまとめることができました。
この案の中には、砂防、地滑り、あるいは治山といった、災害の予防にする事業が含まれていますので、本県にとっては一部不満も残る内容になっています。
こうした部分に対しましては、会議の場でも国と地方の役割分担の面から指摘をしましたが、全体としましては、地方分権を進める大きなチャンスであるこの 機会に、地方としての改革案をまとめ上げることが大切だと考えましたので、最終的には改革案に賛同しました。
この案を受けまして、政府では、経済財政諮問会議の中で、三位一体の改革の集中審議が始まっています。ただ、予想されたことではありますが、国の各省か らは、補助金を死守しようとする動きや、税源移譲の規模を極力抑えようとする考えが示されますなど、政府の要請に地方として応えたはずの改革案を正面から 受け止めたとは、到底考えられない主張が見受けられます。
このような中、地方の側が改革案の提出に当たって前提条件としました、国と地方との協議機関がこのたび設置されましたので、この場を通じて地方の意見を しっかりと反映させますとともに、三位一体の改革の全体像が、少しでも早く提示されますよう国に求めていかなければならないと考えています。 あわせまし て、地方交付税の一方的な削減といったことを再び繰り返させないためにも、議論の状況によっては、地方からの提案の撤回も含めた強い態度で臨む必要がある と思っています。
そうした地方交付税の削減とも大きな関わりがありますが、今、地方の財政は、危機的な状況に瀕しています。
特に、自主財源が乏しく、地方交付税への依存度が高い本県は、三位一体の改革に伴う、交付税のさらなる見直しが行われます中、ますます厳しい状況に直面しています。
地方分権を進めるという三位一体の改革の本来の趣旨からもはずれた、今回の地方交付税の大幅な削減は、国と地方の信頼関係を損なう結果をもたらしました が、これは、県民の生活を守るという立場からは、到底容認できるものではありませんので、あらゆる機会を通じて、国に対して意見を申し述べてきました。
しかし、その一方で国と地方を合わせて700兆円を超える長期の借入金があることを踏まえれば、こうした厳しい状況が、今後も続くであろうことは現実面では覚悟しておかなければなりません。
また、県内の経済の現状から見ましても、県税収入の急激な増加は見込めませんので、今のままの財政運営を続けていたのでは、いずれ県の財政が破たんし て、企業でいえば倒産に当たる、いわゆる財政再建団体に転落することも、現実の危機として捉えなければならない事態になっています。
こうした最悪の事態を避けながら、切迫した財政危機を乗り切りますとともに、将来にわたって持続可能な財政構造を築いていきますためにも、県の職員が一 丸となった行財政改革の取り組みが欠かせませんので、当面、平成19年度までを目標とした具体的な対応指針を定めました。
今後は、この指針に沿って、職員一人ひとりが強い危機感を持ちますとともに、その「人と知恵」の力を最大限に発揮しますことで、予算は減っても必要なサービスはできる限り低下させないという考え方を常に意識して取り組んでいきたいと思います。
また、「住民力を生かす」との基本に立って、NPOをはじめ、様々な地域の皆さんのお力をお借りしながら、地域で支え合う仕組みづくりを進めていきます。
ただ、この財政危機を乗り切るためには、あらゆる分野を聖域なく見直していかなくてはなりません。したがって、県民の皆様には、その結果として一定の負担や痛みを分かち合っていただかざるを得ません。
また、そういったことをお願いしますからには、当然のことながら、県庁が率先して経費削減のために、最大限の努力を積み重ねる必要があります。
このため、事務事業のゼロベースからの見直しはもちろん、これまで長期的なビジョンの研究や人材の育成に成果を挙げてきました財団法人高知県政策総合研究所を廃止しますなど、外郭団体の見直しにも徹底して取り組んでいきます。
内部的には、旅費制度の見直しといった、これまで以上の事務経費の縮減はもちろんのこと、職員定数の削減や手当の見直しに努めますが、それだけでなく県 民の皆様の負担や痛みを職員全体で分かち合いますためにも、特別職から一般職に至るまで、すべての職員の給与を、向こう3年間にわたって減額することにし ました。
このような厳しい状況の中でも、私自身が先頭に立って、全力をもってこの難局を乗り越える覚悟ですので、県民の皆様や県議会の皆様のご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
市町村合併に関しましては、平成の合併としては県内で第1号となります新しい「いの町」が、いよいよ来月1日に誕生します。
新しい「いの町」の皆様におかれましては、より良いまちづくりができますよう、一歩一歩、着実に歩みを進めていただきたいと思います。
このほかにも、県内では、あと二つの地域で合併が決定していますが、住民投票やアンケートの結果、合併協議会が解散する地域が相次いでいます。
こうした地域では、多くの方々が合併を望んでいるにもかかわらず、一部の市町村で賛同が得られないために、全体が白紙に戻らざるを得ないといったケースが大半です。
これらの動きを見ていて、合併は、構成する市町村全ての同意が必要という、本来的な難しさも改めて感じますが、枠組みが崩れたため、思いが叶わなかった市町村の皆様からは、落胆やもどかしさを訴える声もあがっています。
そこで、枠組みが崩れた地域で、関係の自治体の方々にお話を聞いてみますと、共通する課題としては、まず、合併の必要性や財政の厳しさなどを、住民の皆さんに説明をして、十分な理解を得ることが出来なかった点を挙げられます。
加えまして、過疎化が進む中で、地方財政の見通しも不透明なことから、将来に向けたまちづくりの夢が描きにくいことのほか、市町村の間で格差のある住民 負担を平準化しようとしますと、一部の市町村では住民負担を引き上げざるを得ないことへの不満もありました。
その一方で、地域によっては、合併に対する漠然としたアレルギーといったものや、周辺となることへの不安、あるいは地域の間での不信感もあったとお聞きしています。
ただ、そうした中でも、既にいくつかの地域では、新たな枠組みが立ち上がって、合併に向けての協議が進められています。
県としましては、そうした動きを積極的に支援しますとともに、住民の皆さんに関心を高めていただきますため、私自身が地域に出向いていくことにも、引き続き取り組んでいきます。
このたび、山内家から、県が寄託を受けて土佐山内家宝物資料館に保管していました全ての資料を含みます、およそ36,000点を県に寄贈していただきました。
そのご厚意に深く感謝しますとともに、貴重な資料を県民共有の文化遺産として後世に伝えながら、積極的に活用していきたいと考えています。
あわせまして、古今和歌集の写本である国宝の「高野切本」を売却したいとの申し出をいただきました。
この資料は、文化遺産としても極めて価値の高いものですが、それだけでなく、土佐藩の初代藩主である山内一豊の妻、千代夫人が、実家から持参したものと 伝えられていますので、平成18 年のNHK の大河ドラマで放映が決定しています「功名が辻」を生かした取り組みと併せまして、観光資源としての活用も 大いに期待ができます。
このため、今議会に、「高野切本」を取得するための議案や補正予算を提案しています。
また、今回寄贈されました資料の中には、一豊や千代夫人ゆかりのものが100点余りも含まれていますので、今後、大いに活用していきたいと思います。
さらに、この大河ドラマの決定を受けて、去る9月7日には、高知県のイメージアップと観光客の誘致を促進しますために、民間団体や関係の市町村で構成する推進協議会が発足しました。
今後は、この組織を核として、大河ドラマを生かした観光振興に取り組んでいきます。
室戸市が進めます「いやしの里」構想の中のタラソテラピーの施設に関しましては、その経営を担う株式会社シュウウエムラの進出に当たっての準備や地元の協力体制などの条件が整いましたので、本日午後、進出協定の調印を行います。
この日を迎えることができましたのも、企業の熱意はもちろんのこと、進出予定地である高岡地区の皆さんのご理解とご協力、そして関係の皆さんのご尽力のおかげですので、この場をお借りして深く感謝申し上げます。
タラソテラピーは、海水や海藻といった海の資源を活用して、海洋性の気候や豊かな自然環境の中で健康づくりをする自然療法で、フランスをはじめとするヨーロッパでは、ストレスの解消や生活習慣病の予防など、幅広い目的で親しまれています。
このたび建設していただく施設には、ホテルやレストランも併設される計画になっていますので、同じ時期にオープンする予定の室戸市の健康増進施設とともに、東部地域の観光や交流の拠点として、その役割を大いに期待しています。
また、このような室戸の景観と海洋深層水を生かした取り組みは、室戸海洋深層水のブランド力やイメージを高めることにもつながると思いますので、今回、室戸市が整備します公園や健康増進施設の建設を助成するための補正予算を提案しています。
長引く景気の低迷や、公共事業の減少などによって、これまで本県の雇用や地域経済に重要な役割を果たしてきた建設業を取り巻く環境は、年々厳しいものになっています。
こうした中、本県の経済や雇用政策の観点からも、建設業の新たな分野への参入は大きな課題になっています。
このため、産業振興センターなど関係の機関と連携しまして、この6月から8月にかけて、国の支援策や農林業への進出に対する支援体制を知っていただくための研修会を県内各地で開催しました。
その研修に参加された企業の中で、異なる分野への進出を検討しています企業の半数近くは、農林業への進出を検討されていましたので、今回の補正予算で は、そのようなニーズを踏まえまして、異業種から新たに農業に参入して、大規模な園芸農業を行う農業生産法人を支援するためのモデル事業を創設することに しています。
こうした事業は、農業の担い手を確保するためにも意義のあることですので、一つでも多くの成功事例を創り上げますことで、建設業に限らず、多くの企業が 農業の分野に参入できる環境を整えていきたいと考えています。 昨年9月、本県の園芸農業の危機的な状況に対応しますため、農業団体と県が共同して「県園 芸戦略推進会議」を立ち上げました。
その会議では、「系統共販」、つまり県内で一つの販売戦略を基に園芸農産物を販売していくシステムや、販売価格や出荷コストを品目ごとに集計して配分す る「共同計算」、さらには消費者の信頼に応えられる「安全安心」への取り組みなど、本県の園芸農業が抱える課題を六つのテーマに分けて、その対応策を検討 してきました。
その結果、8月18日に開かれた会議では、まず第一に、生産者がまとまって販売することで優位な取引ができるという「系統共販」のもつ戦略的な意義を、生産者の皆さんや農業団体が再確認することを申し合わせました。
その上で「安全安心」に向けて、農薬の使用の時期や回数などを記帳する生産履歴の整備などを、農業団体が自ら推進していくことにしました。園芸農業を立 て直しますためには、生産を担う農協と販売を担う園芸連とが一体的に取り組みますことで、生産者に信頼される組織になることが欠かせない課題ですので、県 としましても、農業団体と一体となってその課題の解決に取り組んでいきます。
日高村に計画しています産業廃棄物処理施設の建設予定地の周辺を調査します中で、環境省や高知県が絶滅危惧種に指定していますオオタカの巣があることが確認されました。
このことによりまして、最短でも来年の夏までは、環境省のマニュアルに沿って、オオタカが生息するための環境やその行動圏を調査する必要が生じています。
ただ、現時点では、確認された巣と計画地との間には、一定の距離があることや、計画地そのものが既に開発された場所であることから、建設自体が中止にな ることは想定していませんが、生態系を乱すことのないよう柔軟で慎重な対応が求められています。
このため、平成17年度中の着工を目指していました建設スケジュールへの影響は避けることができませんが、今後はその調査結果も踏まえまして、専門家で 構成する検討委員会で、保護のための方策や施設の建設がオオタカに影響を与えないような手法の検討を進めていきます。
昨年、森林や山を守ることの大切さへの理解と関心を深めていただくために制定しました「こうち山の日」は、この11月11日で2年目を迎えます。
今年は、昨年に引き続き、山村地域の皆さんが、県内の都市部の皆さんや四国各県の方々と一緒になって森づくりの技術を競う大会が開催されますほか、森林 の役割を学習することで、子どもたちに環境を守るという意識を持ってもらおうと、その学習した成果を発表する会が、NPO団体によって、開催されますな ど、県民の方々の自由な発想によります個性的な取り組みが実施されます。
県としましても、このような主体的な取り組みを積極的に支援しますことで、「こうち山の日」の活動に、より多くの県民の皆様が参加していただけるよう取り組んでいきます。
また、この「山の日」の活動を四国全体に広げるため、11月14日には、本山町で、四国の森林づくりのためのシンポジウムを開催することにしています。
このシンポジウムでは、森林づくりのために四国全体で連携しながら取り組んでいくことを共同して宣言することにしていますので、四国からの特色ある取り組みとして全国に情報発信していきたいと考えています。
近海かつおの一本釣りの振興のために漁船の建造を支援します補助制度に関しましては、この4月以降も引き続き、事業主体として予定していました県漁連と 協議を重ねてきましたが、残念ながら事業を引き受けていただくことについて理解を得ることができませんでした。
このため、県漁連に代わる事業主体を探してきましたが、現状では適当な事業主体が見つかりませんので、予算の執行を断念せざるを得なくなりました。こうしたことから、今回、補助金を減額する補正予算の提案をしています。
このような結果になりましたのは、予算の編成の段階で、具体的な事業の内容やリスクを回避するための対策などに関しまして、県漁連との間の意思の疎通が十分でなかったためだと受け止めています。
しかし、本県の近海かつおの一本釣漁船は、そのほとんどが老朽化して、他の地域との間の競争力を失いつつありますので、関係の皆様からは、新しい船の建造に対する支援の要望が引き続き寄せられています。
言うまでもなく、「土佐の一本釣り」は、大切な雇用の場であるだけでなく、高知の文化や観光資源としても重要な役割を担ってきましたので、もし、この灯が消えることになれば、水産業だけでなく、各方面に大きな影響を与えることになります。
このため、今後は、リース事業以外の方法による支援策がないかを関係団体とも十分に協議をしまして、土佐のかつおのブランドを守るための新たな支援策を検討していきます。
高知市から安芸市に至る高知東部自動車道は、現在、都市計画の変更の作業を進めています。これは、一部の区間を除いて、通行料金を無料化することを前提としてインターチェンジの構造を変更するものです。
一方、須崎市から窪川町の区間に関しましても、日本道路公団による整備方式から国が直轄で整備する方式に変わりましたので、須崎東インターチェンジから西は実質的に無料化が決定しています。
高速道路が無料で利用できることになりますと、利用者の増加が見込まれるだけでなく、インターチェンジ周辺の土地の利用なども含めまして、様々なメリッ トが考えられますので、それらを最大限に生かせるような取り組みを地域の皆さんとともに進めていきたいと考えています。
さらに、国土交通省では、高知市周辺の渋滞の緩和や高速道路の利用促進への効果を検証するため、高知自動車道の南国インターチェンジから伊野インター チェンジの間で、料金をおよそ半額とする社会実験を10月中旬から2か月余りの期間で行うことにしていますので、県としましても、この実験を支援していき ます。
宿毛市と佐伯市を結ぶフェリーに関しましては、改めて地元を含めた数社に打診をしました。その結果、現在、大分県の運送会社が新しい会社を設立して、航路の再開を検討したいとの意向を示されています。
今後は、この会社と具体的な運航計画や資金計画などについて協議を進めますことで、一日も早い航路の再開に取り組んでいきます。
今年は、本県と中国安徽省との友好提携10周年という節目の年ですので、去る8月24日から県議会や県民の方々とともに、安徽省を訪問して、祝賀会や記念行事を通じて交流を深めてきました。
この中で、牧野植物園が合肥植物園と友好植物園の提携を結びましたほか、林業の分野でも、友好交流の事業を進めるための協定を結びました。
さらに、今月9日には王金山省長をはじめとします一行が来高されまして、ともに友好と信頼の絆を確認し合いました。
今後は、民間を中心とした経済交流などを進めますことで、安徽省との交流をさらに深めていきたいと思います。
先日、県警察本部の協力のもと、軽油引取税を納入していなかった石油製品の販売業者とその関係先に対して強制調査を行いました。
調査の対象は、この業者の平成15年9月から平成16年1月までの取り引きに関するもので、納入していなかった税の合計額は、およそ6億3千万円余りとなっています。
強制調査は、本県を含めた7府県の41か所を対象に、総勢180名を超える態勢で実施しましたが、今後は、この事件の実態の解明に努めますとともに、その成果を税収の確保と納税の秩序の向上に生かしていきます。
旅費事務の外部委託に関しましては、2月定例会でいただいたご意見を踏まえました見直し案を提案しています。
旅行日程の作成や旅費の計算といった事務処理は、その効率化を進めるためにも、1社にお任せしますが、旅券や宿泊券の手配に関しましては、県内の旅行業者の登録制度を設けまして、その中から職員が自由に選ぶ仕組みにしています。
あわせて、日当などの旅費制度の見直しも行いますことで、旅費コストの削減にも取り組んでいきたいと考えています。
続きまして、今回提案しました議案をご説明します。
まず、予算案は、平成16年度高知県一般会計補正予算など3件です。
このうち、一般会計の補正予算は、先ほども申し上げました山内家が所有します国宝「高野切本」を購入するために要する経費や、室戸市が行う海洋深層水を 利用した健康増進施設の整備に対する助成のほか、災害復旧のための補正など、合わせて67億円余りを計上しています。
条例議案は、高知県財政状況の公表に関する条例議案など9件です。
その他の議案は、高知県が当事者である和解に関する議案など6件です。
以上をもちまして、議案に関しましての私からの説明を終わります。
何とぞご審議の上、適切な議決を賜りますようお願い申し上げます。
3 議案
1 議 案 関 係
事 件 の 番 号 |
件 名 |
議決結果 |
議 決 年 月 日 |
第 1 号 |
平成16年度高知県一般会計補正予算 |
原案可決 |
16.10.8 |
第 2 号 |
平成16年度高知県土地取得事業特別会計補正予算 |
〃 |
〃 |
第 3 号 |
平成16年度高知県電気事業会計補正予算 |
〃 |
〃 |
第 4 号 |
高知県財政状況の公表に関する条例議案 |
〃 |
〃 |
第 5 号 |
高知県税条例の一部を改正する条例議案 |
〃 |
〃 |
第 6 号 |
高知県立総合看護専門学校の設置及び管理に関する条例の 一部を改正する条例議案 |
〃 |
〃 |
第 7 号 |
高知県障害者施策推進協議会条例の一部を改正する条例議 案 |
〃 |
〃 |
第 8 号 |
高知県手数料徴収条例の一部を改正する条例議案 |
〃 |
〃 |
第 9 号 |
高知県財産条例の一部を改正する条例議案 |
〃 |
〃 |
第 10 号 |
高知県工業用水道有料駐車場料金徴収条例の一部を改正す る条例議案 |
〃 |
〃 |
第 11 号 |
高知県立学校授業料等徴収条例の一部を改正する条例議案 |
〃 |
〃 |
第 12 号 |
高知県立中学校、高等学校、ろう学校、盲学校及び養護学 校設置条例の一部を改正する条例議案 |
〃 |
〃 |
第 13 号 |
高知県が当事者である和解に関する議案 |
〃 |
〃 |
第 14 号 |
公平委員会の事務の受託に関する議案 |
〃 |
H16.9.30 |
第 15 号 |
県有財産(山内家歴史資料)の取得に関する議案 |
〃 |
H16.10.8 |
第 16 号 |
県が行う土木その他の建設事業に対する市町村の負担の一 部変更に関する議案 |
〃 |
〃 |
第 17 号 |
国道381号道路改築(境ヶ谷トンネル)工事請負契約の締 結に関する議案 |
〃 |
〃 |
第 18 号 |
国道494号道路改築(桑田山第1トンネル)工事請負契約 の締結に関する議案 |
〃 |
〃 |
第 19 号 |
職員の給与に関する条例の一部を改正する条例議案 |
〃 |
〃 |
報第1号 |
平成15年度高知県一般会計歳入歳出決算 |
継続審査 |
〃 |
報第2号 |
平成15年度高知県給与等集中管理特別会計歳入歳出決算 |
〃 |
〃 |
報第3号 |
平成15年度高知県用品等調達特別会計歳入歳出決算 |
〃 |
〃 |
報第4号 |
平成15年度高知県土地取得事業特別会計歳入歳出決算 |
〃 |
〃 |
報第5号 |
平成15年度高知県災害救助基金特別会計歳入歳出決算 |
〃 |
〃 |
報第6号 |
平成15年度高知県母子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算 |
〃 |
〃 |
報第7号 |
平成15年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計歳 入歳出決算 |
〃 |
〃 |
報第8号 |
平成15年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計 歳入歳出決算 |
〃 |
〃 |
報第9号 |
平成15年度高知県農業改良資金助成事業特別会計歳入歳出 決算 |
継続審査 |
H16.10.8 |
報第10号 |
平成15年度高知県県営林事業特別会計歳入歳出決算 |
〃 |
〃 |
報第11号 |
平成15年度高知県林業改善資金及び国産材産業振興資金助 成事業特別会計歳入歳出決算 |
〃 |
〃 |
報第12号 |
平成15年度高知県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計歳入 歳出決算 |
〃 |
〃 |
報第13号 |
平成15年度高知県流域下水道事業特別会計歳入歳出決算 |
〃 |
〃 |
報第14号 |
平成15年度高知県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算 |
〃 |
〃 |
報第15号 |
平成15年度高知県高等学校等奨学金特別会計歳入歳出決算 |
〃 |
〃 |
279 報第1号 |
平成15年度高知県電気事業会計決算 |
認 定 |
〃 |
279 報第2号 |
平成15年度高知県工業用水道事業会計決算 |
〃 |
〃 |
279 報第3号 |
平成15年度高知県病院事業会計決算 |
〃 |
〃 |
議発 第 1 号 |
議員を派遣することについて議会の決定を求める議案 |
原案可決 |
H16.9.30 |
議発 第 3 号 |
郵政事業の国民の合意なき民営化に反対する意見書 |
〃 |
H16.10.8 |
議発 第 4 号 |
地方交付税の財源保障機能の縮小反対と総額確保に関する 意見書 |
〃 |
〃 |
議発 第 5 号 |
認可外保育施設の保育料収入にかかる消費税を非課税にす るよう求める意見書 |
〃 |
〃 |
議発 第 6 号 |
若者の社会的自立の推進に関する意見書 |
〃 |
〃 |
議発 第 7 号 |
消費者基本法に基づく消費者政策の推進を求める意見書 |
〃 |
〃 |
議発 第 8 号 |
BSE対策の検査緩和方針の撤回を求める意見書 |
〃 |
〃 |
議発 第 9 号 |
治山事業の見直しに関する意見書 |
〃 |
〃 |
議発 第 10 号 |
私学助成制度のより一層の充実強化を求める意見書 |
〃 |
〃 |
議発 第 11 号 |
義務教育費国庫負担制度の堅持に関する意見書 |
〃 |
〃 |
議発 第 12 号 |
公共事業等の国庫補助負担金の見直しに反対する意見書 |
〃 |
〃 |
議発 第 13 号 |
自衛隊のイラクからの撤退と沖縄普天間基地の早期撤去を 求める意見書 |
否 決 |
〃 |
議発 第 14 号 |
北方領土問題等の解決促進に関する決議 |
原案可決 |
〃 |
議発 第 15 号 |
知事に対する辞職勧告決議 |
〃 |
〃 |
2 請 願 関 係
事 件 の 番 号 |
件 名 |
議決結果 |
議 決 年 月 日 |
請第2号 |
地籍調査費負担金の存続を求める請願について |
採 択 |
16.10.8 |
3 可決された意見書
このたび政府は、郵政事業民営化の基本方針骨子を作成し、郵政事業の民営化を構造改革の目玉と位置づけて法案の作成準備に入った。
郵便・郵便貯金及び簡易保険の郵政三事業は、昨年4月から中央省庁等改革基本法第33条の規定により設置された国営の日本郵政公社が行っている。
しかし、同条に「前各号に掲げる措置により民営化等の見直しは行わないものとすること」と明記されているにもかかわらず、また日本郵政公社の中期経営計画(4カ年)の経過も待たずに、政府は郵政三事業の民営化の準備を進めている。
今回政府が進めようとしている郵政民営化は、国民生活や国民経済にどのようなメリット、デメリットがあるのかも示されず、議論もなされておらず国民の理解を得たものといえる状況にない。
仮に、民営化が行われると営利を追求せざるを得ず、不採算地域は切り捨てとなり、いわゆるユニバーサルサービスが提供できなくなるおそれがある。
さらに地域の郵便局が統廃合されれば、高齢化の進んでいる過疎地では、過疎化に拍車がかかることは明白である。
よって、国におかれては、次の事項を実現されるよう強く要望する。
1 郵政事業の民営化を行わず、日本郵政公社を発展させていくこと。
2 過疎地での郵政三事業のサービスを現行水準以下に下げないこと。
3 過疎地における唯一の身近な公共機関である郵便局を廃局にしないこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長 森 雅 宣
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
郵政民営化担当大臣 様
平成16年度を初年度とする「三位一体の改革」は、地方交付税とその振り替え措置である臨時財政対策債が前年比で12%削減されるなど、地方財政に大きな打撃を与えるものとなっている。
政府の経済財政諮問会議は、平成18年度までの「三位一体の改革」の全体像を11月中旬までに示すとして審議を行っているが、地方交付税の改革が議題と なった8月31日の諮問会議では、民間議員から提出された交付税改革に関する提案が審議され、その提案の実現可能性等についてワーキンググループを設けて 検討を行い、再度、諮問会議に報告することとなった。
しかし、民間議員の交付税改革案は、毎年度のあるべき標準的な地方行政水準を積算し、地方交付税総額の算出の根拠となっている現行の地方財政計画を根本的に見直し、財源保障の範囲を大幅に狭めようとするもので、到底容認できない。
この方向がもし具体化されるならば、再び来年度予算での地方交付税等の大幅削減につながるだけでなく、「三位一体の改革」の全体像は、地方交付税の縮小・削減を突出させ、地方財源を大幅に削減するものとならざるを得ない。
よって、国におかれては、地方交付税に関して次の事項を実現するよう強く要望する。
1 地方交付税の財源保障機能を縮小することなく、地方交付税制度の財政 調整、財源保障の両機能を堅持し、その内容の充実を図ること。
2 地方財政運営に支障を来すことのないよう、地方交付税の総額について は、平成16年度の大幅な削減前の水準を確保できるよう措置すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長 森 雅 宣
内閣総理大臣
内閣官房長官
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
国土交通大臣 様
認可外保育施設の保育料収入にかかる消費税を非課税にするよう求める意見書
少子化が急速に進んでいるにもかかわらず、女性の社会進出に伴い、保育所の待機児童はなかなか減少しない。そういう現状の中、全国で約7,000カ所、約18万人が利用している認可外保育施設は、働く父母にとって、必要不可欠な施設である。
都道府県の認可が得られていないため、ほとんどの保育施設が保護者からの保育料収入と自治体からのわずかな補助によって運営されており、現状においても、経営状況は極めて困難である。
ところが、今年4月からの消費税の免税点1,000万円への引き下げに伴い、認可保育所は非課税である消費税が多くの認可外保育施設にはかかるため、全国的に大きな問題となっている。既に各自治体からも相次いで非課税を求める要望が上がっている。
こうした中、厚生労働省は財務省に対して、平成17年度税制改正に当たって、「認可外保育施設に対する指導・監督制度の充実を図ることに伴い、一定の基準を満たすこれらの保育施設の利用料に係る消費税を非課税とする」ことを要望している。
よって、国におかれては、認可外保育施設の保育料収入にかかる消費税を非課税にされるよう、強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長 森 雅 宣
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣 様
我が国社会は少子高齢化という人口構造の急激な変化の中、情報化、国際化、消費社会化が進行し青少年を取り巻く環境にも大きな影響が及んでいる。これら社 会の変化は、青少年の非行、不登校、ひきこもり、虐待などさまざまな問題を深刻化させ、新たに大きな問題として若者の社会的自立の遅れを生じさせている。
この若者の社会的自立の遅れは、日本経済の成長を阻害するおそれのある「フリーター」の増加など国民生活や経済社会に深刻かつ多大な影響を与えており、若者の社会的自立に関する対策が緊急の課題となっている。
このような中、政府は平成15年6月に若者の職業的自立を促進するため「若者自立・挑戦プラン」を、同年12月には、次代の担い手であり21世紀の我が 国社会を形成する青少年を健全に育成するための総合的施策を定めた「青少年育成施策大綱」を定め、若者の社会的自立の支援を重点課題に掲げ、その支援のた めの施策を総合的かつ効果的に推進することとしている。
よって、国におかれては、次の事項について実現し、プラン・大綱に盛り込まれた若者の社会的自立の施策が効率的に推進されるよう強く要望する。
1 ボランティアなど社会奉仕活動に誰もが活動に参加できる基盤整備を行 う。
2 社会や経済の仕組みについての正しい理解を促進するため体験的な学習 を促進する。
3 インターネット社会が、青少年の犯罪に大きく影響している現状を社会 的に改善するため、通信事業者には自主規制の厳正な執行を強く要望する とともに、利用者には利用方法、マナー等についての啓発広報に取り組む こと。
4 若者の発展段階に応じた就業能力、就業意欲を育成する教育を推進する。
5 現行の若年者雇用対策、就職支援対策事業を大幅に拡充し、協力に推進 するとともに大企業にも若者の雇用拡大を働きかけること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長 森 雅 宣
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
青少年育成及び少子化対策担当大臣
経済財政政策担当大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣 様
先の通常国会(第159回国会)において、改正消費者基本法が成立した。この法律は、成立以来36年ぶりの大改正となるもので、消費者問題が多様化、複雑 化する中で、消費者が真の主役となり、適切な意思決定を行えるような環境を整備する必要がある。その意味で、「消費者の権利」の確立を柱とした消費者基本 法が成立し、施行される意義は極めて大きいと言わざるを得ない。
また、国民生活審議会の消費者政策部会は、消費者団体訴訟制度の具体像に関する有識者による検討委員会を本年5月24日に立ち上げ、年内の報告書取りまとめを目指して論議が進められている。
欠陥商品や悪質商法等の被害などについて、個々の消費者にかわって一定の消費団体が損害賠償等を求める消費者団体訴訟制度は、消費者の権利を守る重要な 手段として、ドイツで制度化・普及し、EU(欧州連合)加盟国や、タイ、インドなどアジア諸国へも広まっている。規制緩和の進む我が国においても、明確な ルールの下での自由な経済活動を保障しつつ、各種の係争の司法的解決を目指す「事後チェック型社会」へと移行していく中で、消費者団体訴訟制度の必要性が 指摘されている。
よって、国におかれては、我が国の消費者の視点に立ち、次の消費者保護政策を早期に実現することを強く要望する。
1 改正消費者基本法を踏まえ、消費者団体訴訟制度の早期導入を図ること。
2 国民生活センター等の機能強化及び電話相談のダイヤルー元化等を推進し、関連する制度・施策の確立を急ぐこと。
3 近年の架空請求・不当請求が社会問題化している現状から、携帯電話・預金口座の不正利用防止策を初め、その対応に関係省庁が一体となって早急に取り組むこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長 森 雅 宣
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 様
政府はBSE(牛海綿状脳症)対策として実施している全頭検査について「生後20カ月以下の感染牛を現在の検査法で発見するのは困難」との報告書を提出した。所管の厚生労働省なども若い牛を検査対象から外す方針を示唆している。
しかし、全頭検査は消費者に、安心を与えていたものであり、保険的役割も否定することはできない。
今回、見直しのきっかけをつくったのは米国の圧力であり、国内の基準が変われば米国産牛肉の輸入再開が議論になることは必至である。
検査緩和の方針は、消費者・生産者に深刻な影響を招き、牛肉に対する信頼性を揺るがしかねず、真に科学的な根拠に基づくBSE検査体制を早急に確立することが求められている。
よって、国におかれては、BSE対策については検査緩和の方針を撤回し、全頭検査の義務づけを継続し、消費者が安心して牛肉を食し、生産者等が誇りを持って畜産経営に専念できるよう、万全の対策を講じるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長 森 雅 宣
内閣総理大臣
内閣官房長官
総務大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣 様
我が国の地形は急峻で、梅雨や台風の時期に集中豪雨などの被害を受けやすい条件下にあり、荒廃した森林の再生等を通じて山地災害の復旧等を行う治山事業は、国民の生命と財産を守り、豊かで安心のできる国土を形成するために必要不可欠な国土保全事業である。
先般、地方六団体から提案された廃止して地方に移譲すべき国庫補助負担金リストにおいて、災害復旧のための事業については、廃止移譲の対象外と位置づけられているにもかかわらず、復旧治山事業が廃止移譲の対象になった。
その理由は、復旧治山事業が災害関連の性格をもつ事業でありながら、一般公共事業の枠内で補助事業として取り扱われているからである。
本来、国土保全という目的からすれば、治山事業においては、山地災害の発生した場合に、予算が機動的、重点的に配分されてしかるべきであるが、災害の多 寡にかかわらず前年度シェアを基準とする硬直した予算方式が採られており、このことが災害に直面し、復旧の実務を担う地方にとって大きな不満となってい る。
国がわずか数パーセントレベルの揺り動かしを指して機動的かつ重点的予算投入を行っているというならば、むしろ地方へ一括移譲して実施する方が効率的であると考えるのも無理もない。
しかしながら、災害復旧事業が国土保全という国民生活にとって欠くことのできない生活基盤を守る事業であり、その責が国に帰することを考えれば、山地災害復旧事業のすべてを地方で担うことには懸念がある。
これまでどおり、治山事業による災害復旧を着実に展開していくためには、引き続き国と地方が連携して、災害の発生状況に応じて機動的に取り組むことが肝 要であり、国と地方の新たなパートナーシップを築くという観点から、次の事項を実現されるよう強く要望する。
1 治山事業を法律で災害復旧事業と位置づけること。
2 国と地方の役割分担を考慮して治山事業の内容を見直すこと。
3 激甚災害や局地激甚災害の認定についてもその要件を緩和すること。
4 災害関連緊急治山事業を複数年化すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長 森 雅 宣
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣
経済財政政策担当大臣 様
私立高等学校(高等学校、中学校、小学校、幼稚園及び特殊教育諸学校)は、建学の精神に立脚し、新しい時代に対応した特色ある教育を展開し、公教育の発展に大きな役割を果たしている。
しかしながら、私立学校の経営は、従来に例を見ない厳しい状況に直面しており、少子化による生徒等数の大幅な減少や長引く景気低迷は、私立学校の存続をも大きく揺るがしている。
公教育の将来を考えるとき、公私相まっての教育体制が維持されてこそ、健全な発展が可能となり、個性化、多様化という時代の要請にもこたえうるものである。
そのためには、私立学校振興助成法第1条に規定するとおり、教育条件の維持向上と保護者の経済的負担の軽減を図るとともに、私立学校の経営の健全性を高めていくことが強く求められている。
地方六団体は、私学助成に係る国庫補助負担金の一般財源化を提案しているが、国におかれては、地方と十分に議論をつくした上で、私立高等学校等の教育の重 要性を認識され、現行と同等の私学助成を確保するとともに、私学教育がより一層充実を図られるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長 森 雅 宣
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 様
総務大臣
財務大臣
政府から「三位一体の改革」に関連して、国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめることを要請されたことを受け、地方6団体は、第2期改革までに、義務教育費国庫負担金の全額廃止を含む、国庫補助負担金等に関する改革案を政府に提出した。
義務教育は、憲法の要請に基づくものであり、国民として必要な基礎的資質を培うものである。国は、憲法及び教育基本法にうたう教育水準の維持向上、無償 教育の実現を図る責任を有している。義務教育費国庫負担制度は、このような国の責任を果たすための制度である。
義務教育は、憲法が保障する「教育を受ける権利」の最小限の保障としての意義を有するものであり、その教育内容・教育水準を確保することは最終的には国の責任である。国としてこれを確保することができなくなることは、国の責任放棄となる。
また財政力の弱い団体にとっては、財政力の格差がそのまま義務教育費の支出水準に転化され、教職員給与費に充てる財源の不足を来し、教職員の給与水準の 低下や教職員の人員削減などが起こり、教育水準を維持するために必要な教職員の確保が困難になるなど、義務教育費を安定的に確保することができなくなり、 教育の水準も、財政状況の変動の影響を受けて不安定化するおそれがある。
さらに、地方が一般財源から支出する義務的経費の比率が高まる結果、地方財政を著しく圧迫し、財政の硬直化を招く要因ともなる。
よって、国におかれては、教育の機会均等と教育水準の維持向上のため、義務教育費国庫負担制度を今後とも堅持されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長 森 雅 宣
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
文部科学大臣 様
政府から「三位一体の改革」に関連して、国庫補助負担金改革の具体案を取りまとめる事を要請されたことを受け、地方6団体は、第2期改革までに公共事業分野等の国庫補助負担金の削減案を政府に提出した。
本案の前提条件として、税源移譲と地方交付税による財源の確保がうたわれているものの、税源移譲が、所得税から住民税へ、また個人住民税の10%比例税率化によってなされると、税源の偏在により、財政力の弱い団体の財源不足は深刻化することが予想される。
また、財政力の弱い団体に対しては地方交付税による財源が確保されるとあるが、地方交付税の総額については抑制の方針が既に出されており、財源保障機能が十分担保されるかは依然不透明である。
このような中で、公共事業等の国庫補助負担金の削減がなされると、財政力の弱い団体は、産業の振興に支障をきたし、また必要不可欠な社会資本整備にも着手できなくなるなど、地域間の格差はますます大きくなる。
また、この改革案にある「道路目的財源の地方譲与税化」が実施されると、道路整備の遅れている団体は、道路整備がますます遅れることになる。
したがって、次の事項の国庫補助負担金が見直されることのないよう強く要望する。
1 農林水産関係の国庫補助負担金
2 河川・砂防関係事業の国庫補助負担金
3 地籍調査費の国庫補助負担金
4 道路目的財源の地方譲与税化、道路関係国庫補助負担金
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長 森 雅 宣
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣
国土交通大臣 様