平成20年7月定例会の概要(7月7日(月) - 7月22日(火)会期:16日間)
公開日 2014年03月27日
INDEX
日程
定例会日程
7月7日(月) - 7月22日(火)(会期:16日間)
月 | 日 | 曜 | 会議 | 行事 | 中継 |
---|---|---|---|---|---|
7 | 7 | 月 | 本会議 | 開会、議案上程、知事説明ほか | |
8 | 火 | 休会 | 議案精査 | ||
9 | 水 | 〃 | 議案精査 | ||
10 | 木 | 本会議 | 質疑並びに一般質問 ◇質問者◇ 溝渕健夫(自由民主党) 横山浩一(県政会) 大石宗(県民クラブ) |
||
11 | 金 | 〃 | 質疑並びに一般質問 ◇質問者◇ 塚地佐智(日本共産党と緑心会) 西森雅和(公明党) 中西哲(自由民主党) |
||
12 | 土 | 休会 | 休日 | ||
13 | 日 | 〃 | 休日 | ||
14 | 月 | 本会議 | 質疑並びに一般質問 ◇質問者◇ 梶原大介(県政会) 山本広明(自由民主党) |
||
15 | 火 | 〃 | 常任委員会 | ||
16 | 水 | 〃 | 常任委員会 | ||
17 | 木 | 〃 | 常任委員会 | ||
18 | 金 | 〃 | 議事整理 | ||
19 | 土 | 〃 | 休日 | ||
20 | 日 | 〃 | 休日 | ||
21 | 月 | 〃 | 休日 | ||
22 | 火 | 本会議 | 委員長報告、採決、閉会 |
議決結果一覧
1. 議案関係
事件の番号 | 件名 | 議決結果 | 議決年月日 |
---|---|---|---|
第1号 | 平成20年度高知県一般会計補正予算 (議発第3号「議案第1号平成20年度高知県一般会計補正予算」に対する修正案を否決) |
原案可決 | H20.7.22 |
第2号 | 平成20年度高知県土地取得事業特別会計補正予算 | 〃 | 〃 |
第3号 | 平成20年度高知県中小企業近代化資金助成事業特別会計補正予算 | 〃 | 〃 |
第4号 | 平成20年度高知県流通団地及び工業団地造成事業特別会計補正予算 | 〃 | 〃 |
第5号 | 平成20年度高知県港湾整備事業特別会計補正予算 | 〃 | 〃 |
第6号 | 高知県こうちふるさと寄附金基金条例議案 | 〃 | 〃 |
第7号 | 高知県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例議案 | 〃 | 〃 |
第8号 | 知事等の給与、旅費等に関する条例の一部を改正する条例議案 | 〃 | 〃 |
第9号 | 職員の退隠料等に関する条例の一部を改正する条例議案 | 〃 | 〃 |
第10号 | 高知県税条例の一部を改正する条例議案 | 〃 | 〃 |
第11号 | 過疎地域等における県税の課税免除に関する条例の一部を改正する条例議案 | 〃 | 〃 |
第12号 | 高知県国民健康保険調整交付金条例の一部を改正する条例議案 | 〃 | 〃 |
第13号 | 高知県温泉法施行条例の一部を改正する条例議案 | 〃 | 〃 |
第14号 | 高知県風致地区内における建築等の規制に関する条例の一部を改正する条例議案 | 〃 | 〃 |
第15号 | 県有財産(権利)の放棄に関する議案 | 〃 | 〃 |
第16号 | 県有財産((仮称)南国工業団地造成事業用地)の取得に関する議案 | 〃 | 〃 |
第17号 | 県有財産(建物)の譲渡に関する議案 | 〃 | 〃 |
第18号 | 防災行政無線システム更新工事(通信システム整備)請負契約の締結に関する議案 | 〃 | 〃 |
報第1号 | 平成19年度高知県一般会計補正予算の専決処分報告 | 承認 | 〃 |
報第2号 | 高知県税条例の一部を改正する条例の専決処分報告 | 〃 | 〃 |
報第3号 | 高知県税条例の一部を改正する条例の専決処分報告 | 〃 | 〃 |
報第4号 | 平成19年度高知県電気事業会計決算 | 継続審査 | 〃 |
報第5号 | 平成19年度高知県工業用水道事業会計決算 | 〃 | 〃 |
報第6号 | 平成19年度高知県病院事業会計決算 | 〃 | 〃 |
議発 第1号 |
高知県政務調査費の交付に関する条例の一部を改正する条例議案 | 原案可決 | 〃 |
議発 第2号 |
高知県議会会議規則の一部を改正する規則議案 | 〃 | 〃 |
議発 第4号 |
公立学校の耐震化に当たって国の補助費用単価の引き上げを求める意見書議案 | 原案可決 | 〃 |
議発 第5号 |
地域医療を守ることを求める意見書議案 | 〃 | 〃 |
議発 第6号 |
子宮頸がん予防ワクチンに関する意見書議案 | 〃 | 〃 |
議発 第7号 |
携帯電話リサイクルの推進を求める意見書議案 | 〃 | 〃 |
議発 第8号 |
国産農産物の消費拡大対策の強化を求める意見書議案 | 〃 | 〃 |
議発 第9号 |
園芸農業の重油高騰対策への支援を求める意見書議案 | 〃 | 〃 |
議発 第10号 |
国による公的森林整備の推進と国有林野事業の健全化を求める意見書議案 | 〃 | 〃 |
議発 第11号 |
木質バイオマスの利活用施設整備への支援を求める意見書議案 | 〃 | 〃 |
議発 第12号 |
漁業用燃油価格高騰への緊急対策を求める意見書議案 | 〃 | 〃 |
議発 第13号 |
日本周辺海域へのカツオ来遊に関する研究を求める意見書議案 | 〃 | 〃 |
議発 第14号 |
シカ被害防止対策に関する意見書議案 | 〃 | 〃 |
議発 第15号 |
タクシー事業の規制緩和の見直しを求める意見書議案 | 〃 | 〃 |
議発 第16号 |
財政状況の厳しい地方に配慮した改革の実現を求める意見書議案 | 〃 | 〃 |
議発 第17号 |
学力の地域間格差の解消を求める意見書議案 | 〃 | 〃 |
議発 第18号 |
揮発油税等の税収を道路整備等に充当することを求める意見書議案 | 〃 | 〃 |
議発 第19号 |
後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書議案 | 否決 | 〃 |
2. 請願関係
事件の番号 | 件名 | 議決結果 | 議決年月日 |
---|---|---|---|
請第1-1号 | 県東部における医療体制の整備及び教育現場での危機管理の徹底に関する請願について | 取下げ承認 | H20.7.22 |
請第1-2号 | 県東部における医療体制の整備及び教育現場での危機管理の徹底に関する請願について | 〃 | 〃 |
請第2号 | 三里交番の移転に関する請願について | 継続審査 | 〃 |
意見書
可決された意見書
公立学校の耐震化に当たって国の補助費用単価の引き上げを求める意見書
中国四川省大地震での学校倒壊により、多くの児童が犠牲となった。日本でも、学校の耐震化の早期実現が緊急の課題となり、改正「地震防災対策特別措置法」が国会で成立した。地方自治体の負担を軽減する対策がとられ、3年間に限り耐震補強工事への補助率を2分の1から3分の2へ、校舎の建てかえは3分の1から2分の1に引き上げることとした。
しかし、補助割合が、実際にかかる工事費用に対する補助ではなく、政府の決めている費用単価に対する補助となっているため、実際にかかった工事費用金額との差額は地方自治体負担として残されている。
「改正法」には、地方自治体の起債による耐震化費用について、後年度の地方交付税措置の充実も盛り込まれている。地方交付税によって国による財政措置をとるのであれば、補助費用単価を実勢に合うものに引き上げて、地方自治体の起債の縮減を図ることで一層の耐震化促進につなげることが、地方自治体の起債抑制・財政健全化にもつながることとなる。
よって、国におかれては、一日も早い学校の耐震化実現のために、国の耐震化補助の費用単価を実際の事業単価に見合うものに引き上げるよう強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長西森潮三
内閣総理大臣
文部科学大臣
国土交通大臣様
地域医療を守ることを求める意見書
地域医療サービスを取り巻く環境は、少子高齢化の進展、医療ニーズの多様化などによって、大きく変化し、地域や診療科における医師の不足及び偏在や看護師をはじめとした医療スタッフの不足の解消という困難な課題に直面する中で、「医療過疎」や「医療の貧困」ともいえる状況に陥っている。地域医療は、住民の生命・健康に直結する不可欠な公共サービスであり、国民が安心と信頼の上に受診できる医療提供体制を確保することは、国の責務である。
よって、国におかれては、下記の対策をはじめ国民が安心で信頼のできる医療を地域で受けられるための政策及び財政措置を講じられるよう強く要望する。
1崩壊の危機に直面している地域医療を守るための財源確保を確実に図ること。
2地域医療を担う医師・看護師等の人材確保と養成のための支援体制を強化すること。
3自治体が「公立病院改革プラン」を策定するに当たっては、それぞれの自治体の主体性を尊重し、地域住民が安心して身近に受けられる地域医療の確保の観点から、住民・利用者・医療関係従事者の意見を十分に踏まえて策定・実施するよう周知すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長西森潮三
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣様
子宮頸がん予防ワクチンに関する意見書
女性のがんである子宮頸がんの死亡率は高く、毎年約8,000人が子宮頸がんと診断され、約2,500人が亡くなっている。子宮頸がんには、他のがんにない特徴がある。一つは、発症年齢が低いということである。子宮頸がんの発症年齢層のピークは年々低年齢化しており、1978年ごろは50歳以降だったのに対し、1998年には30代になり、20代、30代の若い女性の子宮頸がんが急増している。
もう一つは、子宮頸がんの原因のほとんどが、ヒトパピローマウイルス(HPV)による感染によるものということである。8割近くの女性が一生のうちにHPVに感染するものの感染した女性がすべて発症するわけではなく、持続感染により子宮頸がんが発症するといわれている。このHPV感染を予防するワクチンの研究開発が進み、2006年6月に米国をはじめ80カ国以上の国で承認されている。つまり、子宮頸がんは「予防可能ながん」ということになる。
しかし、まだ日本ではこの予防ワクチンが承認されていない。わが国においても予防ワクチンへの期待は高まっている。
よって、国におかれては、子宮頸がんの予防・早期発見のための取り組みを推進するため、次の事項について早急に実現するよう強く要望する。
1子宮頸がん予防ワクチンの早期承認に向けた審査を進めること。
2女性の一生においてHPV感染の可能性が高いこと、また予防可能ながんであることをかんがみ、予防ワクチンが承認された後は、その推進を図るために接種への助成を行うこと。
3日本におけるワクチンの開発、製造、接種のあり方に関して、世界の動向等も考慮し検討を進め、必要な対応を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長西森潮三
内閣総理大臣
厚生労働大臣様
携帯電話リサイクルの推進を求める意見書
レアメタルを含む非鉄金属はわが国の産業競争力の要とも言われており、その安定確保は我が国の産業にとって重要な課題である。近年、国際価格の高騰や資源獲得競争の激化により、その確保に懸念が生じている。貴重な鉱物資源をめぐるこのような状況を受け、資源エネルギー庁に設置された「資源戦略研究会」が平成18年に取りまとめた報告書「非鉄金属資源の安定供給確保に向けた戦略」では、使用済み製品に使われたレアメタルの再利用推進が重視されている。なかでも普及台数が1億台を越えている携帯電話には、リチウム、希土類、インジウム、金、銀などが含まれており、これらを含んだ使用済みの携帯電話は他のレアメタルなどを含む使用済み製品とともに「都市鉱山」として、適切な処理と有用資源の回収が期待されている。
しかし、使用済み携帯電話の回収実績は2000年の約1,362万台をピークに減少傾向が続いており、2006年には約662万台に半減している。回収率向上のための課題として、携帯電話ユーザーへのリサイクル方法の情報提供、携帯電話のリサイクル活動を行うMRN(モバイル・リサイクル・ネットワーク)の認知度向上、ACアダプター等の充電器を標準化することによる省資源化などが指摘されているところである。
よって、国におかれては、使用済みの携帯電話の適正な処理とレアメタル等の有用な資源の回収促進を図るため、次の事項につき、早急な対策を講じるよう強く求める。
1携帯電話の買い換え・解約時においてユーザーに対して販売員からリサイクルの情報提供を行うことを定める等、携帯電話の回収促進のために必要な法整備をおこなうこと。
2携帯電話ユーザーに対する啓発、携帯電話回収促進につながる企業・団体の取組を支援する施策を行うこと。
3ACアダプター等充電器の標準化や取り扱い説明書の簡略化等による省資源化を実現すること。
4レアメタルなどの高度なリサイクル技術の開発に加え、循環利用のための社会システムの確立を目指すこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長西森潮三
内閣総理大臣
総務大臣
経済産業大臣
環境大臣様
国産農産物の消費拡大対策の強化を求める意見書
我が国のカロリーベースの自給率は、平成元年度に50%を割り込み、平成10年度から8年連続で40%であったものが、平成18年度はさらに低下し39%となっている。一方、海外ではバイオエタノール向けとうもろこし増産へのシフトなどにより、小麦の生産量の減少や穀物価格の上昇を招くとともに、これらの輸出規制もみられている。
また、輸入冷凍食品の問題など輸入食品に対する不信感や安全・安心を求める消費者の声は、一層高まっており、我が国の食料供給において質・量の両面で不安定要因が増している。
このように不安定な状況にある輸入農産物への依存が続くなかで、畜産物や油脂類を多く消費する食生活の改善を図るため、食育や地産地消を推進することにより、米を中心とする日本型食生活の実践を促し、自給率の向上に努めるよう、関係各省が連携して取り組んできている。
しかしながら、国民1人当たりの米の年間消費量は昭和37年度の118キログラムから平成18年度は61キログラムに半減し、野菜では国民1人1日当たりの摂取量の目標とされる350グラムに対して約8割の279グラムとなっており、国民の健康づくりに関する栄養・食生活の面の取り組みが十分であるとは言いがたい状況にある。
このように国産農産物の消費の減少が続けば、国内の農産物のマーケットが縮小し、農家の経営の悪化や生産の縮小、ひいては農村の疲弊にもつながり、さらに自給率が低下するおそれがある。
先般、食料の未来を描く戦略会議が国民に対して国産農産物の消費の重要性を示し、広く理解と共感を得る必要がある旨のメッセージを取りまとめた。
よって、国におかれては、こうしたタイミングをとらえ、次の対策を早期に講じるよう要望する。
1国産農産物の消費拡大を図るため、各省が連携し、国民運動として強力に推進すること。
2地産地消の支援や生産に対する支援に加え、各都道府県が行う国産農産物の消費拡大を目的とした取り組みに対する支援を拡充強化すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長西森潮三
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣様
園芸農業の重油高騰対策への支援を求める意見書
本県の園芸農業は、年700億円以上を産出する基幹産業であり、地域や社会の根幹を支える農業を牽引すると同時に外貨を獲得できる重要な産業として、県内の関連産業や雇用に大きく貢献している。野菜や果樹等の園芸品は、高品質で安全・安心な国産農産物として全国に出荷され、国民の豊かな食生活と健康増進に寄与している。
しかしながら、農産物価格の低迷する中で、従来からの原油価格の上昇基調に加えて昨年末からの急激な高騰により、平成16年当時はリットル当たり41円であったA重油の価格は、本年6月には115円と約3倍にもなっており、農業における本県の年間重油使用量8万9,000キロリットルで換算すると、年間で約66億円の増加分を負担せざるを得ない状況に至っている。
さらに、関連する生産資材等も価格が上昇しているため、基幹品目であるナスやミョウガ、ピーマンなどの生産コストは、平成16年当時と比べて1.4~1.6倍にもなっている。
このため、重油高騰などによるコスト高に見合う所得の減少を余儀なくされており、ハウス園芸農家の経営は危機的な状況になっている。
このような状況が続けば、ハウス園芸農家の経営の継続や再生産が困難になるばかりでなく、基幹産業が崩壊して地域経済や雇用に甚大な影響を与えることが強く懸念される。
よって、国におかれては、こうした状況に鑑み、次の緊急対策を講じるよう要望する。
1園芸産地を維持するため、ハウス施設整備に対応できるよう、直接補てんを含む重油価格高騰対策を緊急に実施するとともに、平成21年度の当初予算における措置も積極的に引き続き実施すること。
2国際的な原油市場の安定に向けて外交を強化し、国内における石油及び関連製品等の価格や供給の動向を監視すること。
3関係省庁が一体となって化石燃料に依存しないエネルギー源の確保を早期に実現すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長西森潮三
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
外務大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
国土交通大臣様
国による公的森林整備の推進と国有林野事業の健全化を求める意見書
近年、地球温暖化が深刻な環境問題となる中でグローバル化する森林の役割に対する要請が高まるなど、環境資源としての森林に対し強い期待が寄せられている。一方、林業を取り巻く厳しい状況の中で、森林経営は脆弱化し、その担い手である山村は崩壊の危機に立っている。
このような中、森林整備を推進していくためには、森林所有者の森林経営意欲を創出するための施策の推進はもとより、民間による整備が困難な水源林等公益森林の整備に対する公的機関の役割の強化、さらには、過疎化・高齢化が進む中で、森林・林業の担い手である山村の再生に向けた積極的な取り組みが極めて重要となっている。
このような時期に、国有林野事業は、いわゆる「行政改革推進法(平成18年6月)」に基づき業務・組織の見直しが予定されており、また、独立行政法人緑資源機構は、平成20年3月31日、国会において「独立行政法人緑資源機構を廃止する法律」が成立し、平成19年度末で解散、水源林造成事業等は、独立行政法人森林総合研究所に継承させる措置が講ぜられたところである。
また、「独立行政法人緑資源機構を廃止する法律案」に対する附帯決議において、(1)地球温暖化対策としての森林整備(水源林造成等含む)、民有林の保全・整備に伴う作業道整備・林産業を中心とした農山村活性化等の重要性にかんがみ、その実行体制については、国自ら一般会計において管理運営を行うこと及びその実施時期を前倒ししないことを含め、幅広い観点から慎重に検討すること、(2)山村の過疎化等により森林整備が遅れている地域については、一般会計において路網整備を含めた森林整備や山村の定住化条件の整備を図る必要があることから、その対策を検討することが明記されたところである。
よって、国におかれては、地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策の着実な実行、多面的機能維持を図るための森林整備等の推進はもとより、特に、国有林野事業等において、安全で安心できる国民の暮らしを守るために、重要な役割を果たす水源林等公益森林の整備、さらには、地域林業・木材産業の振興を通じた山村の活性化など、森林・林業施策のさらなる推進に向け、次の事項を実現するよう強く要望する。
1森林吸収源対策を着実に推進するため環境税等税制上の措置を含め安定的な財源を確保するとともに、森林・林業基本計画に基づく林業・木材関連産業の振興施策の推進と、国の森林整備予算の執行にかかわり発生する地方財政措置及び森林所有者の費用負担軽減措置など、平成21年度予算の確保等必要な予算措置を講じること。
2緑の雇用対策等、森林・林業の担い手対策の拡充、施業の集約化、路網の整備等による効率的・安定的な木材の供給体制の確保、さらには、木材のバイオマス利用の促進等により間伐材を含む地域材の需要拡大対策の推進による地域林業・木材産業の振興を図ること。
3水源林造成事業は、水源の涵養はもとより、地球温暖化防止その他の森林の有する公益的機能の発揮を図る重要な事業であり、引き続き計画的に水源林造成事業を含めた公的森林整備を推進するための組織体制の確保及び施業放棄地等民間による森林整備が困難な地域における国の関与のもとでの森林整備制度の創設を図ること。
4国有林野事業については、国民共有の財産である国有林を適正に管理するとともに、国土の保全、水源の涵養など国有林野が果たしている公益的機能の一層の発揮を図るために、一般会計組織による管理運営体制を含め国による管理運営体制の堅持及びその管理運営を通じて地域における森林・林業担い手育成と地域活性化への寄与を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長西森潮三
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
農林水産大臣
環境大臣
林野庁長官様
木質バイオマスの利活用施設整備への支援を求める意見書
去る7月7~9日の北海道洞爺湖サミットにおいて、2013年以降の温室効果ガスの削減に関する国別の中期目標をつくることが合意された。一方、今、我が国でも原油価格の高騰に伴い農林水産業を初めさまざまな分野で燃料費など経費が増大してきたことで、化石燃料に代わる燃料として、バイオエタノールや木質ペレットなどが、新たなエネルギー資源として大きく注目され始めた。この木質バイオマスは、地球温暖化の防止に貢献するとともに、再生可能な環境型資源として持続的に活用できることから、化石燃料から木質バイオマス燃料への転換は、森林県である本県にとっては喫緊の取り組み課題である。
しかしながら、木質バイオマスを活用するための施設整備には、多額のイニシャルコストを伴うため、施設の整備や転換が進まないのが現状である。
国はバイオマス・ニッポン総合戦略を制定し、温室効果ガスの削減のために再生可能なバイオマスエネルギーの利用促進を図ることで、低炭素・循環型社会への移行を進めている。しかし、この利用促進の障害となっているのが施設整備や転換に伴なうイニシャルコストである。また一方では、開発途上国の食料を高騰させ始めた食糧を原料とするエタノールの製造も今新たに課題となってきている。
よって、国におかれては、特に木材の利用に特化した木質系のバイオマスエネルギーの利用促進に向けて、次の支援策を講ずるよう強く要望する。
1木質バイオマスを活用した利用施設等の導入への支援
・木質バイオマスを利用したボイラーを新たに導入する場合
・化石燃料から木質バイオマス燃料利用のボイラーに転換する場合等に対し、導入事業者に対する優遇支援策を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長西森潮三
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣様
漁業用燃油価格高騰への緊急対策を求める意見書
平成16年から引き続く驚異的な原油価格の高騰に伴う漁業燃油価格の急騰により、漁業者は多大な影響を受けており、操業を中断して帰港する漁船や出漁を断念する漁船など危機的な状況が発生している。漁業関係者においては、従来から漁業経営のコスト削減や省エネルギー対策に積極的に取り組んでいるものの、コスト増を魚価に転嫁することができないため自助努力の限界に達している。
このような状況が続けば、漁業の存在すら危ぶまれるほどの危機的漁業者に対する緊急かつ直接的な支援が求められている。
さらに、燃油価格高騰の深刻化は、漁業経営のみならず、漁協経営や地域経済への悪影響、水産物の安定供給にまで直結する問題であり、予断を許さない状況に至っている。
よって、国におかれては、燃油価格高騰により漁業者が直面している危機的状況を乗り越え、今後とも漁業生産を継続維持できるよう、次の事項を強く要望する。
1燃油価格の高騰に伴う漁業経営への影響を緩和するため、直接補てんを含む緊急措置を講ずること。
2燃油価格の高騰による漁業経営の破綻を回避するため、国の拠出による燃油価格高騰対策基金の増額と、定置網漁業など沿岸漁業や近海・遠洋漁業に活用できるよう利用しやすい制度への見直しを早期に図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長西森潮三
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
水産庁長官
資源エネルギー庁長官様
日本周辺海域へのカツオ来遊に関する研究を求める意見書
独立行政法人水産総合研究センターによると、中西部太平洋海域のカツオの資源水準は高位に安定し、資源動向は横ばいとされている。また、我が国のカツオ漁獲量もこの30年の間、30万トン前後で比較的安定している。しかし、実際にこの海域で操業する本県の近海カツオ一本釣り漁業者の間では、平成12年頃から春先のマリアナ西海域における漁場形成の減少や、3月から5月にかけて四国沖に形成されていた大型カツオ船の漁場の消滅など、カツオの日本近海への来遊や漁場形成に異変があると言われてきている。
このことを裏づけるように、本県の沿岸域で操業するカツオ曳き縄漁業でも、平成13年以降は低調な漁況で推移し、昨年は過去最低となるなど、西日本の太平洋沿岸海域への来遊が特に減少している。
さらに、こうしたことに加えて近年、中西部太平洋海域での漁獲量は諸外国も含めて120万トン前後と高水準で推移し、しかも1980年代後半から増加している巻網漁業が、その内の7割以上を占めるようになり、今後もさらに漁獲圧力の高まりに拍車をかけることが予想されることから、一本釣漁業者は資源の枯渇を強く懸念するようになった。
よって、国におかれては、資源に影響の少ない一本釣りという伝統ある漁法を守るとともに、国民に貴重なタンパク源を供給してきた本県の近海カツオ一本釣り漁業の灯を消さないよう、次の対策を早急に講ずるよう強く要望する。
1独立行政法人水産総合研究センター遠洋水産研究所が中心となって、カツオの日本近海への来遊量の変化とその原因を明らかにすること。
2本研究に基づき、カツオ資源の持続的利用について、国内的・国際的に適切な対応を検討すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長西森潮三
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
文部科学大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣様
シカ被害防止対策に関する意見書
本県では、近年野生鳥獣による農林業被害が増加しており、特に中山間地域での被害は大きな問題となっている。中でもシカによる林業被害、農業被害は拡大の一途をたどっている。さらに、ここ数年は山岳地の自然生態系にも極めて深刻な影響を及ぼしており、シカによる食害と踏み荒らしによって裸地となった山腹の一部では崩壊が始まるなど、生態系保全にあわせ国土保全上も一刻の猶予もならない状況に立ち至っている。
このため、被害地の市町村はもとより県においては、被害防除、シカ捕獲にさまざまな対策を講じており、厳しい財政環境の中、大きな財政負担となっている。
シカの増加と被害の拡大は、本県のみならず全国各地で進行しており、今やこの問題は全国的課題ともいえる状況となっている。
また、シカの生息域は都道府県の区域を越え広域に及ぶことや、またその被害も急速に拡がっていることなどから、個々の自治体での対応では限界があり、国による広域的な観点からの対応が今こそ求められている。
あわせて、シカ対策の根幹をなすシカ捕獲については、その担い手である狩猟者が全国的に減少するとともに高齢化してきたため、時期を失することなく、早急に実効ある対策を講じることが必要であると考える。
よって、国におかれては、次の事項につき対策を講じられるよう要望する。
1本県のみならず全国的な課題となっているこうしたシカ対策は、地方の厳しい財政環境の中、都道府県や市町村において多大な財政負担となっているため、必要な財政措置を講じること。
2シカ対策は、国の管理する国有林での対策も重要であることから、国においても、都道府県及び市町村とも協議・連携し、防除対策及び捕獲対策を講じること。
3自然環境保全の面及び国土保全の面でも、危機意識を持ち積極的な被害防止対策を講じること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長西森潮三
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣様
タクシー事業の規制緩和の見直しを求める意見書
平成14年2月に需給調整規制の撤廃を柱とした改正道路運送法が施行されて6年が経過した現在、輸送需要の減少が続く中、全国で事業者数や車両数の増加が著しく、本県を初め全国各地で供給の過剰状態が顕在化し、タクシー事業の経営を大きく圧迫している。一部地域ではコストを無視した際限のない値下げ競争が行われ、利用者の混乱や不信を招くとともに、タクシー乗務員の収入は著しく減少してきており、将来のある若者が就業できない厳しい労働環境となっている。
このように、需要の減少や原油価格高騰に伴う燃料費の上昇から各事業者は収支バランスを崩し、ハイタク業界は今や活力を失いつつある。
その結果、タクシー乗務員に対して、長時間労働や過労運転による健康破壊、さらに極端な低収入による生活破壊をもたらすとともに、交通事故をも誘発している。
一方、本県においては、タクシーの需要が規制緩和前に比べ大幅に(28%)減少していることも判明している。
このような厳しい状況の中でも、タクシー業界に求める利用者の要望は、公共交通機関としての絶対的な安全と安心であり、こうした利用者の信頼にこたえるためにも、また、責任ある事業を展開するためにも需給の調整と交通圏内の同一運賃制度は必要不可欠である。
よって、国におかれては、交通事故のない安全で快適な公共交通機関としての運輸サービスの確立が図れるよう、次の事項につき実施することを強く要望する。
1需給調整(量的規制)の復活。
2同一地域同一運賃の実現。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長西森潮三
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
国土交通大臣様
財政状況の厳しい地方に配慮した改革の実現を求める意見書
本年6月、閣議決定された「経済財政改革の基本方針2008」においては、地域間の財政力格差に対応するため、地方再生対策の考え方に従った地方交付税配分の重点化を引き続き進め、地方交付税を財政の厳しい地域に重点的に配分するとされた。また、「消費税を含む税体系の抜本的な改革」については、早期に実現を図ることとされ、その際、地方消費税の充実などによる地域間の財政力格差の縮小を掲げた税制改革大綱を踏まえることとされている。他方、「歳出・歳入一体改革」においては、歳出全般にわたって、これまで行ってきた歳出改革の努力を決して緩めることなく、国、地方を通じ、引き続き「基本方針2006」、「基本方針2007」にのっとり、最大限の削減を行うこととされている。
こうした改革は、今後、議論が本格化する見込みであるが、その中においては、かつての「三位一体の改革」のように、国の財政健全化や各省の権限確保にとらわれるあまり、地方への負担転嫁や地方の歳出削減に偏った改革としては断じてならない。
本県では、既に「三位一体の改革」以前から徹底した行財政改革に取り組み、予算規模や職員数を大幅に削減しているが、一方で裁量的な経費に充てる普通建設事業費などが大きく減少しており、財政構造の硬直化が進んでいる。
こうした傾向は、財政力の弱い地域ほど顕著であり、地方が担っている行政サービスの実態を踏まえれば、歳出の削減は既に限界に達している現状にある。
よって、国におかれては、今後の改革の推進に当たって、次の事項に特に配慮するよう強く要望する。
1財政状況の厳しい地方ほど、歳出削減の取り組みを強力に推進してきた経過を踏まえ、一方的な地方への歳出削減の押しつけや、地域間格差の実態を無視した全国一律の見直しを行わないこと。
2地方交付税の総額確保や機能強化、地方消費税の充実など安定的で偏在性の少ない地方税体系の確立を図ることなどにより、地域間の財政力格差を是正するとともに、地方分権改革を推進する上で必要な財源を確実に措置すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長西森潮三
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣様
学力の地域間格差の解消を求める意見書
昨年4月の全国学力・学習状況調査において、本県など一部の都道府県、市町村、学校における子供たちの学力は全国水準を大きく下回る結果となった。子供たちが将来を生きる上での基礎学力を培う義務教育の段階において、このような学力の地域間格差が生じることは大きな問題であり、全国どこの地域においても、だれもが一定の学力を身につけられるようにすべきであると考える。また、財政的に厳しい地域や、経済状況が苦しい家庭に対しては、教育環境の整備や教育費の支出もままならないことから、積極的な財政支援を行う必要がある。このような観点から、本県においては、緊急の教育支援策を取りまとめ、課題を有する地域・学校に対する学力向上対策や、放課後における学び場の提供等を行うための補正予算を7月定例会に計上したところであるが、現在、国においては、そのような支援策が十分に整備されていない状況があると考える。
よって、国におかれては、義務教育段階における学力の地域間格差、及び財政力・経済力による教育格差を解消するため、次の事項につき強く要望する。
1学力の地域間格差を正確にはかり、その解消の検討に極めて重要な役割を担う全国学力・学習状況調査を継続的に実施すること。
2学力に課題を有する都道府県、市町村及び学校を重点的に支援するため、教員の追加配置や充実した研修・研究の実施などを内容とした新たな学力向上のための事業を創設すること。
32の事業に加え、学力向上対策を側面的に支援する観点から、学校の施設・設備や学校外の教育環境の整備に対する財政支援を積極的に行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長西森潮三
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
文部科学大臣様
揮発油税等の税収を道路整備等に充当することを求める意見書
急峻な地形や厳しい自然環境の本県では、救急車のすれ違いができない道路や、歩行者や自転車が安心して通るための歩道の設置されていない道路がまだまだ多く残っている。また、降雨時には落石などによって道路が寸断され、集落が孤立するなど、県民の安全・安心が確保されていない上に、高規格道路の整備が著しくおくれているため、多くの地域資源を十分に生かせない状況である。これらの道路整備のための財源は、これまで道路特定財源制度によって計画的に確保されてきたが、6月27日に閣議決定された「骨太の方針2008」においては、「道路特定財源等に関する基本方針(5月13日閣議決定)」に基づき、道路特定財源制度は平成20年の税制抜本改革時に廃止し平成21年度から一般財源化し、生活者の目線でその使い方を見直すことが示された。
しかしながら、たとえ道路特定財源が一般財源化されようとも、厳しい自然環境の中で県民の命を守り、地域の産業振興を支える真に必要な道路整備は絶対になされるべきである。
よって、国におかれては、本県のように著しく整備のおくれた道路が一日でも早く全国水準に追いつき、活力ある地方が実現できるよう、次の事項につき実施されることを強く要望する。
1道路特定財源の一般財源化の制度設計に当たっては、受益者負担という合理的かつ公平性の観点から、道路特定財源は道路整備に充当し、「四国8の字ネットワーク」を初めとする命の道となる真に必要な道路整備を計画的かつ早急に推進すること。また、一般財源化される税収を、本州四国連絡高速道路の料金値下げのために活用すること。
2「地方道路整備臨時交付金制度」及び「地方道路整備臨時貸付制度」を継続するため、「道路整備事業財政特別措置法」にかわる新しい法整備を行うこと。なお、現行補助率の堅持及び貸付金の償還に対しても、一定の財政支援を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
高知県議会議長西森潮三
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
国土交通大臣様