第1 はじめに
橋本知事は、平成3年12月に就任以来、「県庁職員の意識改革」や「開かれた県政」、「県民参加型の県政」、また「行政の説明責任」など次々と看板を掲げながら、組織改革や意識改革に取り組んできた。
しかし、今年になって、「元県幹部職員による巨額借り入れ焦げつき関連事件」(以下、「事件」という)をはじめ、「池川町の覚醒剤事件」、「セクハラ事件」など一連の不祥事が次々と明らかになったように、目標と現実には大きな乖離がある。
その中でも、この事件は、知事から担当職員に至るまで絶大な信頼を抱いていた都築弘一元海洋局次長(以下、「元県幹部」という)が、その在職中に大豆の先物取引の投機資金を捻出するために、不正に巨額の融資を受け、それを焦げつかせたという県政史上でも特異な事件である。
一連の不祥事の中でも、特にこの事件については、事態の重大性から平成11年5月臨時議会の本会議及び総務委員会、産業経済委員会において、執行部の認識や対応、責任の所在などについて質したが、真相の究明にはほど遠い状況であった。
県民の負託を受けた県議会として、行政のチェック機能を果たし、県民に対して真相を明らかにするため、去る5月14日、臨時議会において、「元県幹部職員 による巨額借り入れ焦げつき関連事件調査特別委員会」(以下、「委員会」という)を設置し、真相の究明を行うことを決定した。同時に、一連の不祥事に対して、県政史上初めて「知事に対する問責決議」を賛成多数で可決した。
当委員会は、5月25日から9月16日まで、延べ10回にわたり委員会を開催し、その間、前副知事や前商工労働部長などを参考人として招致するとともに、 執行部からは知事をはじめ関係部局の幹部職員、さらには当時の担当職員まで出席を求め、事件の真相究明のために調査、審議を尽くしてきた。
この間の当委員会の審議状況や、審議の中で明らかとなった問題点および責任の所在等について、以下報告する。