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第2 調査結果の概要

3 責任の所在と再発防止対策等について

(2) 再発防止対策等について

再発防止対策については、これまで事件の概要や行政対応の問題点等を明らかにしてきたので、それぞれその原因や対策を分析・検討する中でおおむねその項目 が整理されていると思う。また具体的な再発防止対策は、執行機関において検討・策定することが適当と考えるので、当委員会としては、ここでは主要な項目に ついてのみ指摘する。

ア 県職員(特別職を含む)の意識改革の推進と公務員としての資質の向上
・県民全体の奉仕者としての意識の確立
・法遵守の精神の徹底と懲戒処分事由等に対する認識の徹底

イ 重要案件に対応するシステムづくり
この事件のような重要な案件への対応は、災害対応のように県の組織を挙げて直ちに対応する必要があり、そのためのシステムを確立する。
・特定の個人(例えば副知事)が対応、判断をしない。
・組織の縦・横の連携の強化
・庁議・部局連絡会議の活用
・初動の判断ミスが事件の拡大につながるので、事件の初期に慎重かつ組織的な対応を行う。

ウ 重要案件の適切な進行管理
この事件は、9年12月に退職願が撤回された時点から、責任を持って対応する部署がなく、事実上無責任体制となっている。
案件によって、責任を持って進行管理を行う部署を決定しておく必要がある。

エ 情報の共有化の促進と情報伝達方法の抜本的改善
・部局間、上下間の情報の共有
・文書、メモによる明確な情報の伝達と整理保存
・職員間の報告、連絡、相談のシステムの確立
・事務引継の適正化
・情報伝達や意思疎通が自然にできるような風通しのよい職場環境づくり

オ 適切かつ公平な組織・人事管理の確立
・組織全体でチェックし、管理する体制づくり
・飲酒運転事案は直ちに懲戒免職処分になるが、この事件の場合は、事件把握後1年4か月も処分なしというのはいかにも不公平。県民、職員が納得できる基準の確立と運用の適正化を図る。
・県職員の徹底した綱紀粛正と不正防止の仕組みづくり
・幹部職員の資質の向上と適正な配置

カ 県民や議会に対する情報公開や説明責任の推進充実
執行部の内部資料の問題に見られるように、情報や資料等をできるだけ隠したがるという古い体質が残っている。
こうした体質を根本的に改め、自ら積極的に情報を提供するとともに説明責任を果たすよう最善の努力をする。