【委員会からの提言】
南海トラフ地震対策において、避難路や避難場所等の整備をはじめとする応急対策は、県民の命を守るために最優先で取り組むべき課題であり、スピード感を持って取り組まなければなりません。
さらに、早期の復旧・復興に向けた長期的視点を持って対策を講じることも重要です。
このたび、平成24年12月定例会の中間報告で提言した事項に併せて新たな提言を行いました。
(1)地域防災力について
避難訓練の反復による実践力の向上、そして、要援護者の把握と見守り、さらには、地域の防災リーダーの養成が喫緊の課題です。
多くの住民参加により防災訓練を反復する必要があります。要援護者には、日頃から地域で見守る関係を築くことが重要です。さらに、防災の知識や技術を養う研修を実施する必要があります。
(2)防災教育について
津波に関する正しい知識の啓発や防災意識の次世代への継承、専門知識を有する防災の担い手の育成が課題です。
津波についての正しい知識の普及を図り、防災意識の向上につなげ、防災の担い手を育成するために、高等学校の専門学科として「防災科」の設置を検討する必要があります。
(3)避難時の安全確保について
避難時の安全を確保するためには、公共的施設や住宅の耐震化を加速し、避難経路や緊急避難場所の安全性を高めることが課題です。
住宅の耐震化の促進や津波避難ビルの安全確保、液状化対策を検討する必要があります。
津波避難施設の整備が困難な地域では既存の歩道橋の活用などについて検討する必要があります。なお、危険性の高い地域にある社会福祉施設等については、事前の高台移転を積極的に推進する必要があります。原発事故の発生に対しては、情報収集や避難行動、医療救護について対策を協議し、万全の体制を整える必要があります。
(4)災害時医療について
災害拠点病院の機能と実践力の向上、さらには、医療機能の代替手段の確保が課題です。
災害拠点病院と一般病院との連携など、機能を維持する方策を検討するとともに、病院船の導入を国に働きかける必要があります。また、自衛隊や警察、消防、自治体などが連携した大規模訓練を定期的に実施する必要があります。
(5)孤立への備えについて
公民館等においては、避難所機能の充実が課題です。
食糧備蓄や生活用水の確保策に加え、衛生状態を維持するための資機材の配備や、感染症のまん延防止策を講じる必要があります。
(6)災害ストレスへの対応について
発災時から復興期までのケア体制の整備が課題です。
被災者のほか、消防士や医療関係者など救援者のストレスにも対応できるように、臨床心理士等を計画的に養成する必要があります。
(7)復興事業について
職員が不足する市町村への支援体制の確立や、大規模災害時における法定手続きの簡素化が課題です。
県職員の派遣や自治体職員OBによる応援、さらには、ほかの自治体から被災市町村への職員派遣を支援する仕組みなどを検討し、発災時の特別措置や新たな制度の創設を国に要請する必要があります。
|